高齢者の障害リスク、不健康な生活習慣により増大/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2013/08/07

 

 不健康な生活習慣は身体障害リスクを増大し、そのリスクは不健康な生活習慣の数が多いほど上昇することが、フランス・INSERMのFanny Artaud氏らによる同国高齢者を対象としたコホート研究データからの解析の結果、明らかになった。これまで、不健康な生活習慣およびその数が慢性疾患や突然死などのリスクを高めることは示されていたが、障害との関連について調べた研究はほとんどなかった。BMJ誌オンライン版2013年7月23日号の掲載報告より。

3,982人を12年間追跡
 本検討は、1999~2001年に登録・開始されたフランス3都市の住民で65歳以上高齢者を対象とした前向きコホート研究「3Cスタディ」のうち、ディジョン市住民データについて行われた。同被験者群は、研究者がとくに身体機能と障害に注目して追跡を行っていた。

 Artaud氏らは、ベースライン時で生活習慣の評価を行っており、身体障害のなかった3,982人(うち女性60.5%)について12年間追跡を行い、障害の発生程度や生活習慣との関連について評価した。

 主要評価項目は、運動能、手段的な日常生活動作、基本的な日常生活動作の3つの障害尺度のデータを、2001年から2012年の間に5回評価し統合した障害重症度の階層的指標(なし、軽度、中等度、重度)とした。

運動不足、果物・野菜不足、喫煙が増大、一方でアルコールとの関連はみられず
 12年間の追跡期間中に、1,236人(うち女性69.7%)が、中等度または重度の障害を有していた。

 解析の結果、障害発生と独立した関連を示したのは、運動不足(ハザード比:1.72、95%信頼区間[CI]:1.48~2.00)、果物や野菜の摂取が1日1回未満(同:1.24、1.10~1.41)、喫煙している/少し前まで喫煙していた(同:1.26、1.05~1.50)ことであった。一方、アルコール摂取との強い関連はみられなかった。

 障害リスクは、不健康な生活習慣の数が多いほど上昇がみとめられた(p<0.001)。不健康な生活習慣が3つ以上あった高齢者は、1つもなかった人と比べて、障害を有するリスクが2.53倍(95%CI:1.86~3.43)高かった。

 バイアス検討のため、追跡期間の最初の4年間で障害を有した被験者を除外して行った890例についての解析の結果も、先の主要解析の結果と同様のものであった。

 不健康な生活習慣と障害発生との関連のうち、BMI・認知機能・抑うつ症状、外傷、慢性疾患、心疾患およびそのリスクファクターが30.5%を占めていた。そのうち慢性疾患が占める割合が大きく、抑うつ症状、外傷、BMIが続いていた。

 以上を踏まえて著者は、「不健康な生活習慣は障害リスクの増大と関連していた。また、その数が多いほどリスクは高まることが示され、慢性疾患、抑うつ症状、外傷、BMIが関連していることが示された」と結論している。

(武藤まき:医療ライター)