くすぶり型多発性骨髄腫の高リスク例については、レナリドミド(商品名:レブラミド)、デキサメタゾン(同:レナデックス)を用いた治療を早期に開始したほうがベネフィットを得られることが、スペイン・サラマンカ大学病院のMaria-Victoria Mateos氏らによる検討の結果、明らかにされた。くすぶり型多発性骨髄腫に対する治療は、有効な治療薬がほとんどなく、利用可能な治療薬は長期毒性への懸念があり、症状が発現するまでは経過観察が標準とされている。背景には、同疾患の活動性疾患への進行リスクが低い(年率10%)ことがあるが、研究グループは、これまで研究ターゲット集団として検討されていなかった、同患者の40%を占める高リスク例(進行する確率が2年で50%)について、早期介入の有用性を検討する第3相無作為化オープンラベル試験を行った。NEJM誌2013年8月1日号の掲載報告。
高リスクの119例を治療群と観察群に無作為化
試験は、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者119例を、治療群と観察群に無作為に割り付けて行われた。治療群の患者は、1サイクル4週間の導入療法[レナリドミド25mg/日(1~21日目)+デキサメタゾン20mg/日(1~4日目、12~15日目)投与]を9サイクル受け、その後に1サイクル28日間の維持療法(1~21日目にレナリドミド10mg/日投与)を2年間受けた。
主要エンドポイントは、症候性疾患に進行するまでの期間とした。副次的エンドポイントは奏効率、全生存率、安全性とした。
治療群の進行ハザード比0.18、死亡ハザード比0.31
119例のうち、57例が治療群に、62例が観察群に割り付けられた。ベースラインの両群の特性は均等であった。
追跡期間中央値40ヵ月後、進行までの期間中央値は、治療群(未到達)が観察群(21ヵ月)よりも有意に延長した(治療群の進行のハザード比[HR]:0.18、95%信頼区間[CI]:009~0.32、p<0.001)。
また、3年生存率も治療群のほうが高率であった(94%vs. 80%、治療群の死亡のHR:0.31、95%CI:0.10~0.91、p=0.03)。
治療群では部分奏効以上の達成が、導入療法後に79%、維持療法中では90%で認められた。
毒性は主にグレード2以下であった。
(武藤まき:医療ライター)