小児骨形成不全症に対する経口リセドロン酸の安全性と有効性を検討した結果、骨密度の増大、骨折の初発・再発リスクの減少が認められ、忍容性も良好であったことが、英国・シェフィールド小児病院のNick Bishop氏らによる多施設共同無作為化並行群間二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告された。小児骨形成不全症に対しては、しばしばビスホスホネート製剤の静注投与が行われているが、定期的な入院治療を要するなど利便性、コスト面、また患児に与える精神的ストレスなどが大きい。経口治療はQOLの大きな改善につながるとして期待されているが、従来のビスホスホネート製剤を用いた試験では骨折リスクの改善が示されなかった。Lancet誌オンライン版2013年8月5日号掲載の報告より。
13ヵ国20施設でプラセボ対照無作為化試験
Bishop氏らは、第三世代のビスホスホネート製剤であるリセドロン酸の、小児の疾患における安全性および有効性を評価することを検討目的とした。試験は、骨形成不全症を有する骨折リスクの高い4~15歳の小児(13ヵ国20施設で登録)を、リセドロン酸1日1回投与(2.5または5mg)群とプラセボ群に無作為に割り付け1年間投与を行い評価した。
試験の割り付けについては患児、研究者、試験参加施設スタッフともに知らされなかった。また全患児はその後2年間、非盲検でリセドロン酸投与を受けた。
主要有効性エンドポイントは、腰椎二次元骨密度(BMD)の1年の変化(%)であった。主要有効性エンドポイントの解析はANCOVA(analysis of covariance:共分散分析)にて行われた(治療、年齢群、施設、ベースライン共変量を考慮)。解析はintention-to-treat(ITT)法に基づき、無作為化され割り付けられた治療を1回以上受けたすべての被験者を組み込んだ。
治療の選択肢とみなすべき
無作為化を受けたのは147例で、97例がリセドロン酸群に、50例がプラセボ群に割り付けられた。このうち治療を受けなかった患児を除く各群94例と49例についてITT解析を行った。
ベースライン時の両群の人口統計学的特性や腰椎二次元BMDは類似していた。ただし平均ボディBMD Zスコアは、リセドロン酸群-1.42、プラセボ群-1.82だった。治療コンプライアンスは、プラセボ対照試験期間およびその後の非盲検試験期間とも同様だった。
結果、1年時点の腰椎二次元BMDは、平均値でリセドロン酸群が16.3%増加したのに対し、プラセボ群は7.6%だった(格差:8.7%、95%信頼区間[CI]:5.7~11.7、p<0.0001)。臨床的骨折の発生は、リセドロン酸群は29/94例(31%)であったのに対し、プラセボ群は24/49例(49%)だった(p=0.0446)。
2年、3年時の非盲検試験期間の臨床骨折発生は、本試験スタート時からリセドロン酸投与を受けていた群では46/87例(53%)が報告された。一方、プラセボを受け続けていた群では32/49例(65%)の報告だった。
一方、有害事象の発生は、上部消化管や筋骨格系の有害事象の頻度を含め両群で同程度であった。
これらの結果を踏まえて著者は、「骨形成不全症の小児に対する経口リセドロン酸の投与は、BMDを増大し、初発・再発の骨折リスクを減少した。また、概して忍容性は良好であった。リセドロン酸は、小児骨形成不全症の治療の選択肢とみなすべきであろう」と結論している。
(武藤まき:医療ライター)