新規抗α4β7インテグリン抗体、潰瘍性大腸炎に有効/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2013/09/02

 

 抗α4β7インテグリン抗体vedolizumabは、中等度~重度の活動性潰瘍性大腸炎の導入療法および維持療法として有用であることが、カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のBrian G Feagan氏らが実施したGEMINI 1試験で示された。潰瘍性大腸炎治療については、アミノサリチル酸など従来療法の効果は十分ではなく、グルココルチコイドやTNF阻害薬は重篤な有害事象の懸念があることから、新たな治療戦略が求められている。vedolizumabは、α4β7インテグリンに特異的に結合して腸管へのリンパ球の遊走を選択的に阻害するヒト化モノクローナル抗体である。NEJM誌2013年8月22日号掲載の報告。

導入、維持療法の有用性を無作為化試験で評価
 GEMINI 1試験は、潰瘍性大腸炎に対するvedolizumabの有効性と安全性を評価する2つの統合的な二重盲検プラセボ対照無作為化試験。対象は、年齢18~80歳で、グルココルチコイド、免疫抑制薬、TNF阻害薬による治療を1回以上施行され不応であった中等度~重度(Mayoスコア6~12)の活動性潰瘍性大腸炎患者であった。

 導入療法には、374例(コホート1)が第1、15日にvedolizumab 300mg(静脈投与)またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けられ、vedolizumab群には非盲検下にさらに521例(コホート2)が登録された。治療6週後の評価でvedolizumabが有効であった患者を維持療法の対象とし、vedolizumabを8週ごとに投与する群、4週ごとに投与する群、プラセボ群の3群に無作為に割り付け、52週まで治療を行った。

 改善の定義は、1)Mayoスコアが、ベースラインから3ポイント以上低下、かつ30%以上低下、2)直腸出血サブスコアが1ポイント以上低下または直腸出血サブスコア絶対値が0、1の場合とした。寛解はMayoスコア2以下、かつ>1のサブスコアがない場合、粘膜治癒はMayo内視鏡サブスコアが0、1の場合と定義した。

約4割がTNF阻害薬不応例の集団で全評価項目が有意に改善
 2008~2012年までに34ヵ国211施設から895例が登録され、vedolizumab群に746例(コホート1:225例、コホート2:521例)が、プラセボ群には149例が割り付けられた。全体の平均年齢は40.3歳、男性58.7%、罹病期間6.9年、Mayoスコア8.6、TNF阻害薬不応例41.0%であった。

 導入療法の主要評価項目である6週時の臨床的改善率は、vedolizumab群が47.1%であり、プラセボ群の25.5%に比べ有意に優れていた(層別因子補正後の差:21.7%、95%信頼区間[CI]:11.6~31.7、p<0.001)。6週時の寛解率はvedolizumab群が16.9%、プラセボ群は5.4%(同:11.5%、4.7~18.3、p=0.001)、粘膜治癒率はそれぞれ40.9%、24.8%(同:16.1%、6.4~25.9、p=0.001)であり、いずれも有意差を認めた。

 維持療法の主要評価項目である52週時の臨床的寛解率は、vedolizumab 8週ごと投与群が41.8%、4週ごと投与群は44.8%であり、プラセボ群の15.9%に比べいずれも有意に良好だった(プラセボ群と補正後の差:8週ごと投与群;26.1%、95%CI;14.9~37.2、p<0.001、4週ごと投与群;29.1%、95%CI;17.9~40.4、p<0.001)。

 頻度の高い有害事象は両群間に大きな差は認めず(頭痛:vedolizumab群12.9% vs プラセボ群10.2%、鼻咽頭炎:12.9 vs 9.5%、関節痛:9.0 vs 9.1%)、重篤な有害事象(12.4 vs 13.5%)や重度感染症(1.9 vs 2.9%)の頻度も同等であった。進行性多巣性白質脳症(PML)の発症は認められなかった。

 著者は、「vedolizumabは、導入療法、維持療法の双方において、すべての主要評価項目と副次評価項目がプラセボよりも優れていた」と結論し、「探索的評価項目(部分的Mayoスコア、IBDQスコアによるQOL、便中カルプロテクチン、グルココルチコイド使用)もvedolizumab群で良好だった」としている。

(菅野守:医学ライター)