古くて新しい薬コルヒチン、急性心膜炎の頻発・再発リスクを半減/NEJM

急性心膜炎に対し、アスピリンなどによる従来抗炎症療法に加えてコルヒチンを投与すると、頻発性・再発性心膜炎の発生リスクは半減することが明らかになった。症状持続率や入院率も、コルヒチン投与により大幅に減少することが示された。イタリア・マリア・ビットリア病院のMassimo Imazio氏らが、急性心膜炎の患者240例を対象に行った無作為化プラセボ対照試験の結果、報告した。コルヒチンは痛風の古典的な治療薬だが、近年、再発性心膜炎に有効であることが示され推奨されている。急性心膜炎に対する効果も支持する報告がされているが確定的データはなかった。NEJM誌オンライン版2013年9月1日号掲載の報告より。
コルヒチン0.5mgを1日1~2回投与
研究グループは、急性心膜炎患者240例を無作為に1対1の割合で2群に分け、一方には従来のアスピリンまたはイブプロフェンによる抗炎症療法に加えコルヒチンを投与し(120例、体重70kg超は3ヵ月間0.5mgを1日2回、体重70kg以下は0.5mgを1日1回)、もう一方にはプラセボを投与した(120例、従来抗炎症療法のみ)。被験者は全員、18ヵ月間以上追跡を受けることとし、あらかじめ計画した定期受診(1週、1、3、6、12ヵ月、その後は試験終了まで6ヵ月に1回)にて評価を受けた。主要アウトカムは、頻発性または再発性心膜炎の発生で、副次アウトカムは72時間時点の症状継続、1週間以内の寛解、再発件数、最初の再発までの時間、疾患関連の入院などだった。
72時間後の症状継続率や入院率は大幅減少、1週間時点の寛解率は増大
被験者は、平均年齢52.1±16.9歳、60%が男性だった。結果、主要アウトカムの発生率は、プラセボ群が37.5%(45例)だったのに対し、コルヒチン群では16.7%(20例)と半減した(相対リスク減少:0.56、95%信頼区間:0.30~0.72、治療必要数[NNT]:4、p<0.001)。
72時間後の症状継続率も、プラセボ群40.0%に対しコルヒチン群19.2%と、およそ半分に減少した(p=0.001)。患者1人当たりの再発件数は、プラセボ群0.52に対しコルヒチン群は0.21(p=0.001)、入院率はそれぞれ14.2%と5.0%(p=0.02)だった。1週間時点の寛解率も、プラセボ群58.3%に対しコルヒチン群85.0%と有意に高かった(p<0.001)。
有害事象発生率や服用中止率は、両群で同等だった。重篤な有害事象の発生はなかった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)
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