低線量ヘリカルCTによる毎年の肺がん検診は、胸部X線によるものに比べ、陽性適中率は低いものの、早期肺がんの検出能が高い傾向が明らかにされた。米国・カリフォルニア大学のDenise R. Aberle氏らが、低線量ヘリカルCTと胸部X線の肺がん検診のアウトカムを調べる全米肺検診試験(National Lung Screening Trial:NLST)の結果を分析し報告した。NEJM誌2013年9月5日号掲載の報告より。
5万人超を無作為化、年1回の検診を3回実施
NLSTは、2002~2004年にかけて登録した被験者5万3,454人を無作為に2群に分け、2002~2007年に低線量ヘリカルCTまたは胸部X線による年1回の肺がん検診を計3回実施し(T0、T1、T2)、発生イベントについて2009年末まで追跡した。その結果、低線量ヘリカルCT群のほうが肺がん死亡率が胸部X線群よりも20%低かったことが先行研究において報告されている。
研究グループは本検討においてT1、T2の、被験者の検診アドヒアランス、検診および確定診断の結果、肺がん症例の特徴、ファーストライン治療を調べ、両検査実施の価値について評価した。
結果、検診受診率は、T1は低線量ヘリカルCT群94.0%、胸部X線群91.2%、T2はそれぞれ92.9%と89.4%だった。
また、T1とT2の検診結果が陽性だったのは、低線量ヘリカルCT群はそれぞれ27.9%と16.8%、胸部X線群は6.2%と5.0%だった。
肺がんステージIAは低線量ヘリカルCT群48%、胸部X線群24%
低線量ヘリカルCT群の検診結果について分析した結果、T1は感度94.4%、特異度72.6%、陽性適中率2.4%、陰性適中率99.9%だった。陽性的中率はT2では5.2%に上昇していた。
一方、胸部X線群は、T1は感度59.6%、特異度94.1%、陽性適中率4.4%、陰性適中率99.8%であった。T2では感度が63.9%に、陽性適中率が6.7%へと改善していた。
肺がんステージが明らかになった人についてみると、T1では、低線量ヘリカルCT群はステージIAが47.5%(87例)で、31.1%(57例)がステージIIIまたはIVだった。一方、胸部X線群はステージIAが23.5%(31例)で、59.1%(78例)がステージIIIまたはIVで、低線量ヘリカルCT群で早期肺がんの検出が多い傾向が認められた。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)