PCI後の抗血小板薬2剤併用中止・休薬によって心血管イベント増加/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2013/10/03

 

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)と心血管リスクとの関連について観察研究にて検証したPARISの結果が発表された。米国・マウントサイナイ医科大学のRoxana Mehran氏らによる報告で、心血管イベントの発生は、DAPT中断時の臨床状態、中断した理由に依拠し、中断時期が遅いほどリスクは低下することが明らかになった。また、イベントの大半はDAPT継続群で発生していたこと、中断群での早期イベントリスクは留置したステントタイプを問わないことも明らかになった。これまで、DAPT中断はPCI後の重大イベントリスクを増大することは知られていたが、中断までの時間や中断理由によりリスクが変動するかについては明らかではなかった。Lancet誌オンライン版2013年8月30日号掲載の報告より。

DAPTの異なる中断モードとPCI後の心血管リスクとの関連を評価
 PARIS(Patterns of Non-Adherence to Anti-Platelet Regimens in Stented Patients)レジストリは、2009年7月1日~2010年12月2日の間に欧米5ヵ国から15施設が参加して行われた前向き観察研究であった。被験者は、多枝冠動脈へのステント留置が成功し、退院時にDAPTを継続していた18歳以上成人患者であった。

 本検討において研究グループは、DAPTの異なる中断モードとPCI後の心血管リスクとの関連について調べることを目的とし、被験者を留置後1、6、12、24ヵ月にフォローアップした。

 DAPT中断被験者について、事前に規定していた「医師の判断による離脱」「休薬(手術のため)」「中止(コンプライアンス不良または出血のため)」の中断モード別に階層化して評価を行い、またDAPT中断によるすべての重大イベントまたはエピソードについて個別の評価も行った。評価は、時間経過Coxモデルを用いて、主要重大イベント(MACE:心臓死・疑い例を含むステント血栓症・心筋梗塞・標的病変血行再建の複合)へのDAPT中断の影響を調べた。DAPT中断と重大イベントの発生率を、初回イベントまでの時間についてKaplan-Meier法にて算出した。

MACE発生の大半は継続例だが、休薬・中止例で増大、離脱例は低下
 本研究の被験者には5,031例が登録され、最終試験集団は5,018例であった。

 2年間の全DAPT中断発生率は57.3%だった。離脱例は40.8%、休薬例は10.5%、中止例は14.4%であった。

 2年間のMACE発生率は11.5%で、その大半(74%)は、DAPT継続例での発生だった。

 MACE発生率についてDAPT継続例と比較した結果、休薬例で1.41倍(ハザード比[HR]:1.41、95%信頼区間[CI]:0.94~2.12、p=0.10)、中止例で1.50倍(同:1.50、1.14~1.97、p=0.004)と増大した一方で、離脱例は0.63倍(同:0.63、0.46~0.86、p=0.004)と低下した。

 また中止例のリスクについて、中止時期が7日以内のHRは7.04(95%CI:3.31~14.95)、8~30日は同2.17(0.97~4.88)、30日以降は同1.3(0.97~1.76)と時間に伴い低下することも明らかとなった。

 これらの結果は、ベアメタルステントを用いた患者を除外し、標的病変血行再建を除いたMACEの評価においては同程度であった。

(武藤まき:医療ライター)

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コメンテーター : 香坂 俊( こうさか しゅん ) 氏

慶應義塾大学 循環器内科 准教授

J-CLEAR評議員