2型糖尿病患者の血糖コントロールについて、通常プラリマリ・ケアとプラクティスナース(いわゆる“特定看護師”)による電話指導介入も行った場合とを比較した結果、アウトカムに有意な差はなかったことが、オーストラリア・メルボルン大学のIrene D Blackberry氏らにより行われたクラスター無作為化試験「PEACH」の結果、示された。訓練を受けた看護師による電話指導は、2型糖尿病の血糖や血圧、脂質を改善することが示されているが、実際の一般診療(GP)でのプラクティスナースによる効果については、これまで検討されていなかった。結果を踏まえて著者は「処方権のない看護師にゼネラリストの役割継続に加えて目標達成指導の役割を課しても、成果は得られないことが判明した」と結論している。BMJ誌オンライン版2013年9月18日号掲載の報告より。
2型糖尿病患者へのプラクティスナースによる電話介入の効果を調査
オーストラリアでは、2型糖尿病患者の治療は大半がGPで行われているが、一方で慢性疾患負荷の増大、高齢患者の増加、そして臨床医不足に対応するため、雇用されているプラクティスナースのプライマリ・ケア習得に対して報酬が支払われているという。
研究グループは、2型糖尿病患者の血糖コントロール改善について、プラクティスナースによる目標達成に集中した電話指導の効果を評価することを目的としたPEACH(Patient Engagement And Coaching for Health)試験を実施した。試験はビクトリア州のGPを対象に、前向きに評価して行われた。試験には69施設が参加を承諾し、そのうち十分な患者を要した59施設が無作為化を受けた。
プラクティスナースは、電話指導プログラムについて2日間のトレーニングを受け、患者1人当たり8回の電話指導と1回の面談を実行した。
主要エンドポイントは、ベースライン時と18ヵ月時点とのHbA1cの変化の平均値で、介入群と対照群を比較した評価が行われた。
追跡18ヵ月、血糖コントロールにおける効果に有意差みられず
評価は、試験適格条件を満たした2型糖尿病患者(過去12ヵ月のHbA1c値が7.5%以上)829例のうち、試験同意を得られた473例について行われた。被験者の内訳は介入群236例(30施設)、対照群237例(29施設)であった。
ベースライン時の介入群と対照群の患者特性は類似していた。また、試験期間中の脱落者はいなかったが、患者減少率は両群ともに5%だった(介入群11/236例、対照群11/237例)。
介入群236例が受けた指導セッションの平均回数は3回(四分位範囲:1~5)であった。また、同群患者の25%(58/236例)はセッションを一回も受けていなかった。
追跡18ヵ月の血糖コントロールにおける効果は、ベースライン時測定のHbA1c値とクラスターについて補正後、介入群と対照群で有意な差はみられなかった(平均差:0.02、95%信頼区間:-0.20~0.24、p=0.84)。そのほかの生化学的および臨床的アウトカムは、両群で同様だった。
著者は「リアルワールドにおけるプラクティスナースの電話指導は、血糖値、生化学的および臨床的アウトカムの改善において有効ではなかった。労働力における一般診療医と専門看護師のバランスや、処方権のある・なし看護師についてのさらなる研究が必要である。また、オーストラリアのプライマリ・ケアにおける患者アウトカムの適正化には、ケア提供システムの組織的な改革が必要なのかもしれない」とまとめている。