PCI施行患者への搬送中の抗トロンビン薬投与/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2013/11/13

 

 プライマリ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行患者に対するビバリルジン(国内未承認)の投与について、搬送中からの投与のベネフィットをヘパリン+GP IIb/IIIa阻害薬と比較検討した無作為化試験の結果、ビバリルジン単独群のほうが重大出血を有意に抑制し30日時点の臨床アウトカムを改善することが示された。急性ステント血栓症の発生は有意に高かった。フランス・ビシャ・クロード・ベルナール病院のPhilippe Gabriel Steg氏らEUROMAX研究グループが検討を行い報告したもので、NEJM誌オンライン版2013年10月30日号で発表された。同患者に対してビバリルジンが、ヘパリン+GP IIb/IIIa阻害薬よりもアウトカム(出血と死亡)の改善に優れることは先行研究で示されていたが、搬送中からの投与については明らかではなかった。

プライマリPCIを受ける搬送中の2,218例をビバリルジンと対照群に無作為化
 EUROMAX(European Ambulance Acute Coronary Syndrome Angiography)試験は、プライマリPCIを受ける患者に対するビバリルジン投与のベネフィットが、GP IIb/IIIa阻害薬や新規のP2Y12阻害薬の投与、橈骨動脈アクセスといった現状行われている入院前処置の選択肢と比べても不変であるかを評価することを目的とした国際無作為化オープンラベル試験であった。2010年3月10日~2013年6月20日の間に9ヵ国65施設から被験者2,218例が登録され、無作為にビバリルジン単独群(1,102例)または対照群(1,116例)に割り付けられた。被験者は、プライマリPCIを受けるため搬送中だったST上昇型心筋梗塞(STEMI)で、対照群には非分画または低分子量ヘパリン+GP IIb/IIIa阻害薬が投与された。試験薬の投与から冠動脈造影までの時間中央値は50分だった。

 主要アウトカムは、30日時点の死亡または重大出血[冠動脈バイパス移植術(CABG)と非関連]の複合で、主な副次アウトカムは、死亡、再梗塞、CABG非関連の重大出血の複合であった。

ビバリルジン群の相対リスク、主要アウトカム0.60、重大出血は0.43
 結果、ビバリルジンは対照介入と比較して、主要アウトカムのリスクを有意に抑制した(5.1%対8.5%、相対リスク[RR]:0.60、95%信頼区間[CI]:0.43~0.82、p=0.001)。また、副次アウトカムのリスクも有意に抑制した(6.6%対9.2%、RR:0.72、95%CI:0.54~0.96、p=0.02)。

 アウトカムを個別にみると、重大出血(CABG非関連)は有意に抑制した(2.6%対6.0%、RR:0.43、95%CI:0.28~0.66、p<0.001)が、死亡については抑制はしたものの有意差は示されず(2.9%対3.1%、同:0.96、0.60~1.54、p=0.86)、再梗塞については有意差は示されなかったが増大した(1.7%対0.9%、同:1.93、0.90~4.14、p=0.08)。

 ステント血栓症については有意な増大がみられ(1.6%対0.5%、同:2.89、1.14~7.29、p=0.02)、とくに24時間以内の発生リスクが高かった(RR:6.11、95%CI:1.37~27.24、p=0.007)。

 これらの結果は、サブグループ(プライマリPCIを受けた患者)解析においても変わらなかった。

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コメンテーター : 後藤 信哉( ごとう しんや ) 氏

東海大学医学部内科学系循環器内科学 教授

J-CLEAR理事