ゾタロリムス溶出ステント(エンデバー)留置術後の2剤併用抗血小板療法(DAPT)の実施期間について、3ヵ月実施が12ヵ月実施に対して非劣性であることが実証された。ブラジル・Instituto Dante Pazzanese de CardiologiaのFausto Feres氏らが、3,000例超について行った多施設共同オープンラベル無作為化比較試験で明らかにした。薬剤溶出性ステント留置後の2剤併用抗血小板療法は現在、12ヵ月間とすることが推奨されている。しかし一部の薬剤溶出性ステントについては、2剤併用抗血小板療法の最適な期間が判明していなかった。JAMA誌オンライン版2013年10月31日号掲載の報告より。
純臨床・脳有害イベントと主要有害心イベントの発生率を比較
Feres氏らは、2010年4月~2012年3月にかけて、ブラジル国内33ヵ所の医療機関で、ゾタロリムス溶出ステント留置術を行った患者3,119例について非劣性試験を行った。
被験者を無作為に2群に分け、一方の群には術後2剤併用抗血小板療法[アスピリン100~200mg/日とクロピドグレル(商品名:プラビックス)75mg/日]を3ヵ月投与、もう一方の群には12ヵ月投与し、3ヵ月群の非劣性を検証した。術後1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月時点で追跡評価を行った。
被験者は、安定型冠動脈疾患または低リスク急性冠症候群の病歴があった。
主要エンドポイントは、純臨床・脳有害イベント(NACCE:全死因死亡、心筋梗塞、脳卒中、重大出血のいずれか)の発生だった。副次エンドポイントは、主要有害心イベント(MACE:全死因死亡、心筋梗塞、緊急冠動脈バイパス術、標的病変血行再建術のいずれか)の発生などとした。
主要エンドポイント発生、3ヵ月群6.0%、12ヵ月群5.8%
結果、NACCEの発生が認められたのは、3ヵ月群93例(6.0%)、12ヵ月群90例(5.8%)であり、3ヵ月群の非劣性が確認された(リスク格差:0.17、95%信頼区間[CI]:-1.52~1.86、非劣性p=0.002)。
1年MACE発生率のKaplan-Meier分析推定値は、3ヵ月群が8.3%(128例)、12ヵ月群が7.4%(114例)だった(ハザード比[HR]:1.12、95%CI:0.87~1.45)。
術後91~360日の間、NACCE発生率(2.6%対2.6%、HR:1.03、p=0.91)、MACE発生率(5.3%対4.3%、HR:1.22、p=0.23)、ステント血栓症発症率(0.3%対0.1%、HR:3.97、p=0.18)ともに両群で有意差はなかった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)