最も安全な薬剤溶出ステントが明らかに/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2013/11/25

 

 薬剤溶出ステント(DES)の安全性と有効性は、種類間で異なり、エベロリムス溶出ステントとResoluteゾタロリムス溶出ステントが他のDESに比べて安全性が高く、現状最も安全なステントであることが明らかになった。ポーランド・ニコラス・コペルニクス大学のEliano P Navarese氏らが、60件の無作為化試験について行ったメタ解析の結果、報告した。BMJ誌オンライン版2013年11月6日号掲載の報告より。

被験者総数6万人超について、死亡や心筋梗塞、ステント血栓症リスクなどを比較
 冠動脈ステントは、冠動脈疾患患者の治療としてベアメタルステント(BMS)よりも有効なDESを用いて広く行われている。DES間では、第2世代の耐久性ポリマーステントは、第1世代の耐久性ポリマーステントやBMSよりも安全であることが示されているが、生分解性ポリマーステントの有効性と安全性プロファイルについては議論の的となっていた。

 そこで研究グループは、種々のDESを試験対象に含む60の無作為化試験(被験者総数6万3,242例)についてメタ解析を行った。解析に組み込まれたDESは、次のとおり。

●シロリムス溶出ステント(第1世代耐久性ポリマーステント)
●パクリタキセル溶出ステント(第1世代耐久性ポリマーステント)
●エベロリムス溶出ステント(第2世代耐久性ポリマーステント)
●Endeavor ゾタロリムス溶出ステント(第2世代耐久性ポリマーステント)
●Resolute ゾタロリムス溶出ステント(第2世代耐久性ポリマーステント)
●バイオリムス溶出ステント(生分解性ポリマーステント)

 安定性冠動脈疾患または急性冠症候群でDES留置術を行った患者について、安全性と有効性を比較した。主要アウトカムは、安全性については死亡、心筋梗塞、確定的または可能性の高いステント血栓症のいずれかとした。有効性については、標的病変または標的血管再血行再建術とした。

心筋梗塞リスクが少なかったのはResoluteゾタロリムス溶出ステントとエベロリムス溶出ステント
 1年後の死亡率は、DESの種類間の格差はなかった。心筋梗塞リスクについては、Resoluteゾタロリムス溶出ステント、 Endeavor ゾタロリムス溶出ステント、エベロリムス溶出ステント、シロリムス溶出ステントが、パクリタキセル溶出ステントに比べ、発症リスクを29~34%減少した。

 なかでもResoluteゾタロリムス溶出ステントとエベロリムス溶出ステントの、パクリタキセル溶出ステントに対する心筋梗塞発症に関するオッズ比は、それぞれ0.66(95%信頼区間:0.46~0.91)と0.67(同:0.53~0.81)だった。

 さらに心筋梗塞発症リスクについては、生分解性ポリマー使用バイオリムス溶出ステントが、エベロリムス溶出ステントに比べ、29%増大した(オッズ比:1.29、同:1.02~1.69)。

 一方で、生分解性ポリマー使用バイオリムス溶出ステントと比較して、Endeavor ゾタロリムス溶出ステントとパクリタキセル溶出ステントは、ステント血栓症のリスクを有意に増大した。

 有効性のエンドポイントについては、Endeavor ゾタロリムス溶出ステントとパクリタキセル溶出ステントで、標的病変または標的血管再血行再建術の実施率が増大したが、その他のDESではいずれも同等だった。

 安全性については、ベイズ確率曲線による解析の結果、エベロリムス溶出ステントと Resoluteゾタロリムス溶出ステントが、他の溶出ステントに比べ、最も安全性が高いことが明らかになった。