深夜~早朝に執刀後、同日に腹腔鏡下胆摘術を施行したときの合併症リスク/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2013/11/25

 

 日中の待機的腹腔鏡下胆嚢摘出術について、施術外科医が前の晩の深夜から早朝にかけて執刀を行っていた場合と、深夜以降に執刀していなかった場合とを比べた結果、開腹胆嚢摘除への転換や医原性損傷といった合併症リスクは増大しなかったことが報告された。カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のChristopher Vinden氏らが、待機的腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った2,000例超の患者と、そのマッチング群について行った住民ベースの後ろ向きコホート試験の結果、明らかにした。患者アウトカムへの執刀医の睡眠不足の影響については明確にはなっていないという。JAMA誌2013年11月6日号掲載の報告より。

開腹胆嚢摘除への転換、医原性損傷、死亡の発生率を比較
 試験は、カナダのオンタリオ州の医療管理データベースを用いて行われた。研究グループは、2004~2011年の間に、同日深夜以降(深夜0時~午前7時)に手術を行った外科医が、日中にも待機的腹腔鏡下胆嚢摘出術をした2,078例と、同じ外科医が深夜以降に執刀せず同術を行ったマッチング患者8,312例について分析し、合併症リスクについて比較した。

 試験の対象となった外科医は331人だった。

 主要アウトカムは、開腹胆嚢摘除への転換であり、副次アウトカムは、医原性損傷または死亡とした。

合併症リスクは両群で同等
 その結果、開腹胆嚢摘除転換の発生率は、深夜に執刀した場合が2,031例中46例(2.2%)に対し、執刀しなかった場合が8,124例中157例(1.9%)と、両群で有意差はなかった(補正後オッズ比[OR]:1.18、95%信頼区間:0.85~1.64、p=0.33)。

 医原性損傷発生率についても、深夜執刀群が2,031例中14例(0.7%)に対し、非執刀群が8,124例中72例(0.9%)で補正後ORは0.77(p=0.37)、死亡率はそれぞれ2,031例中5例以下(0.2%以下)と8,124例中7例(0.1%)で、いずれも有意差は認められなかった。

 以上の結果を踏まえて研究グループは、前夜の執刀有無による関連は認められなかったと結論したが、同時に「この試験結果は、前夜に執刀した外科医による待機的手術の安全性を支持するものではない」と述べている。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)