PET-CT検査:放射性トレーサーの違いで、冠動脈プラークの検出に差/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2013/11/28

 

 18Fフルオライド陽電子放射断層撮影(PET-CT)による高リスクプラークの検出・特定能について、2種の放射性トレーサー、18Fフッ化ナトリウム(18F-NaF)と18F-フルオロデオキシグルコース(18F-FDG)の検出・特定能を比較検討した結果、18F-NaF PET-CTが非侵襲的画像診断法では最も有用である可能性が示された。英国・エジンバラ大学のNikhil V Joshi氏らによる前向き試験の結果で、著者は「この方法が、冠動脈疾患患者のマネジメントと治療の改善に役立つかどうかを立証するための、さらなる研究が必要である」とまとめている。非侵襲的画像診断法による同プラークの特定は、冠動脈疾患の予防と治療の臨床的前進に大きく寄与することを意味するものである。Lancet誌オンライン版2013年11月11日号掲載の報告より。

心筋梗塞40例と安定狭心症40例の患者を対象に検証
 試験は、18F-NaF PET-CT、18F-FDG PET-CTおよび侵襲的冠動脈造影を受けた、心筋梗塞(40例)および安定狭心症(40例)の患者を対象とした。

 18F-NaFの集積は、症候性頚動脈疾患患者からの頚動脈内膜剥離術検体を用いて組織学的に比較検討した。また安定狭心症患者では血管内超音波を検討に用いた。

 主要エンドポイントは、急性心筋梗塞患者の責任または非責任冠動脈プラークの、18Fフルオライドの組織/バックグランド比とした。

責任プラークへの集積は18F-NaFが最も高い
 心筋梗塞患者のうち37例(93%)の検討では、責任プラークへの集積は18F-NaFが最も高かった(最大組織/バックグランド比の中央値:責任プラーク1.66[IQR:1.40~2.25]vs. 最大非責任プラーク1.24[同:1.06~1.38]、p<0.0001)。

 対照的に、18F-FDGは心筋に集積され概して不明瞭であり、責任プラークと非責任プラークについて識別の有意差はみられなかった(同:1.71 [1.40~2.13] vs. 1.58 [1.28~2.01]、p=0.34)。

 著明な18F-NaFの集積は、すべての頸動脈プラーク破綻部位で認められ、石灰化活性の組織学的エビデンス、マクロファージ浸潤、アポトーシス、壊死との関連がみられた。

 安定狭心症患者18例(45%)での検討では、18F-NaFのプラークへの集積は局在的で(最大組織/バックグランド比の中央値:1.90[IQR:1.61~2.17])、血管内超音波における高リスク所見と関連していた。すなわち、リモデリング陽性(リモデリング指数:プラーク集積あり1.12[IQR:1.09~1.19]vs. 同なし1.01[0.94~1.06]、p=0.0004)、微小石灰化(73%vs. 21%、p=0.002)、壊死性コア(25%[21~29]vs. 18%[14~22]、p=0.001)。

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コメンテーター : 近森 大志郎( ちかもり たいしろう ) 氏

東京医科大学 第二内科 教授

J-CLEAR評議員