無作為化試験(RCT)の中断頻度は高く、その理由として最も多いのは被験者不足であることが明らかにされた。スイス・バーゼル大学病院のBenjamin Kasenda氏らが、スイス、ドイツ、カナダの6つの研究倫理委員会がプロトコルを承認した全無作為化試験(RCT)を、レトロスペクティブに調査し報告した。RCT中断は、倫理に対する懸念をもたらし、また乏しい研究資源をすり減らすが、中断された試験がどれほどあるのか、また中断理由などの“疫学”は不明であった。JAMA誌2014年3月12日号掲載の報告より。
スイス、ドイツ、カナダでプロトコル承認された全RCTを分析
研究グループは、RCTの中断割合、特徴、公表状況などを確認すること、中断の因子と被験者不足、未発表との関連について調べることを目的に検討を行った。
2000~2003年にスイス、ドイツ、カナダの6つの研究倫理委員会がプロトコルを承認した全RCTを対象に、試験の特徴、被験者募集情報を集め、最終フォローアップ2013年4月27日時点で評価を行った。主要評価項目は、試験の完了状況、報告されていた中断理由、刊行状況で、研究倫理委員会、検索、および研究者サーベイとのやりとりにより確認した。
中央値11.6年間で24.9%が中断
追跡期間中央値は11.6年(範囲:8.8~12.6年)であった。その間に包含されたRCT 1,017件のうち、253件が中断していた(24.9%、95%信頼区間[CI]:22.3~27.6%)。そのうち倫理委員会に報告されていたRCTは、わずか96件であった(37.9%、95%CI:32.0~44.3%)。
中断理由として最も多かったのは、被験者不足であった(101/1,017件、9.9%、95%CI:8.2~12.0%)。
また多変量解析の結果、被験者不足による試験中断とならなかったことと関連していたのは、「メーカーが資金提供」(vs. 研究者が資金提供:8.4% vs 26.5%、補正後オッズ比[OR]:0.25、95%CI:0.15~0.43、p<0.001)、「計画時のサンプルサイズ」[100増大につき(-0.7%、OR:0.96、95%CI:0.92~1.00、p=0.04)]だった。
中断試験は、完了試験よりも未公表である傾向が高かった(55.1% vs 33.6%、OR:3.19、95%CI:2.29~4.43%、p<0.001)。