整形外科医は年間35件以上の手術を行う必要がある?/BMJ

初回人工股関節全置換術(THA)を受けた患者コホートを分析した結果、手術経験が年間35件以下だった医師の手術を受けた患者の脱臼や再手術のリスクが、35件超の医師による手術の場合と比べて有意に増大していたことが、カナダ・トロント大学のBheeshma Ravi氏らによる検討の結果、明らかにされた。著者は、「合併症リスクを最小化するためにも年間35件の手術経験を課すことを検討すべきである」と述べている。また、このような整形外科医の経験値と合併症発生との関連の視覚化の手法は、どのような保険制度下にも適用でき、地方の保健医療当局にとって有用な情報となるであろうとまとめている。BMJ誌オンライン版2014年5月23日号掲載の報告より。
初回待機的THA後の合併症リスクと整形外科医の年間手術件数との関連を分析
研究グループは、初回待機的THA後の合併症リスクとの関連でみた整形外科医の年間手術経験数のカットポイントを特定すること、およびあらゆるリスクの定量化を目的に傾向スコア適合コホート試験を行った。対象は、カナダのオンタリオ州の住民で、2002~2009年に初回THAを受けた3万7,881例で、術後2年間以上追跡した。
主要評価項目は、外科的合併症の発生で、90日以内(静脈血栓症、死亡)および2年以内(感染症、脱臼、周術期の人工関節破損、再手術)について評価を行った。
年間経験値35件が分水嶺
研究グループは、整形外科医の経験値とさまざまな合併症リスクとの関連を視覚化するための多変量線形モデルを開発した。その結果、年間35件がカット値であることが特定され、それ以下では脱臼と再手術が増加することが明らかになった。
経験値35件以下の整形外科医のTHAを受けていた6,716例の患者について、35件超の整形外科医の手術を受けていた患者との適合ができた。両者を比較検討した結果、前者の患者は、脱臼率(1.9%対1.3%、p=0.006、NNH[有害必要数]:172例)、再手術(1.5%対1.0%、p=0.03、NNH:204例)が有意に高率であることが示された。
(武藤まき:医療ライター)
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