腰部脊柱管狭窄症に対し、グルココルチコイド+リドカイン硬膜外注射はリドカイン単独の硬膜外注射と比べて、ほとんどあるいはまったく短期的利益は得られなかったことが明らかにされた。米国・ワシントン大学のJanna L. Friedly氏らが、多施設共同二重盲検無作為化試験の結果、報告した。グルココルチコイド硬膜外注射は、腰部脊柱管狭窄症の治療に広く用いられているが、一方で高齢者の疼痛および障害を引き起こす頻度が高い。しかしその使用に関する有効性、安全性の厳密なデータは十分ではないのが現状であった。NEJM誌2014年7月3日号掲載の報告より。
400例を併用群と単独群に無作為化し6週時点で有効性、安全性を評価
試験は2011年4月~2013年6月に、米国内16施設で被験者を募り行われた。2,224例がスクリーニングを受け、中心性腰部脊柱管狭窄症と中等度~重度の下肢疼痛および障害を有する患者400例を、グルココルチコイド+リドカイン硬膜外注射またはリドカイン単独硬膜外注射を受ける群に無作為に割り付け検討した。
患者は、主要アウトカム評価時(無作為化後または初回注射後6週時)までに1または2回の注射を受けた。
主要アウトカムは、Roland–Morris障害質問票スコア(RMDQ、スコア範囲0~24で高スコアほど身体障害が重度)、下肢疼痛強度(尺度0~10で、0は疼痛なし、10は“想定内では最大級の痛み”)であった。
有効性、安全性ともに有意差みられず
6週時点で、RMDQスコア、下肢疼痛強度の評価ともに両群間に有意差はみられなかった。RMDQスコアについては、両群の平均治療効果の補正後の差は-0.1ポイント(95%信頼区間[CI]:-2.1~0.1、p=0.07)であり、下肢疼痛強度については、同-0.2ポイント(95%信頼区間[CI]:-0.8~0.4、p=0.48)であった。
同様に事前規定の注射タイプ別(経椎弓間vs. 経椎間孔)で層別化した副次サブグループ解析でも、6週時点の評価で有意差は認められなかった(RMDQスコアの相互作用p=0.73、下肢疼痛強度の相互作用p=0.99)。
1つ以上の有害事象を報告した患者の割合は、併用群21.5%、単独群15.5%だった(p=0.08)。患者当たり平均イベント数は、併用群のほうが多かった(p=0.02)。また注射タイプ別では、経椎間孔群のほうが経椎弓間群よりも高率だった。
(武藤まき:医療ライター)