スイス・バーゼル大学病院のMatthias Briel氏らDISCO研究グループは、無作為化試験のサブグループ解析について、プロトコルとジャーナル発表論文における内容が一致するかを調べた。その結果、両者間には大きな矛盾があり、また「サブグループ解析は事前に規定されていた」という発表論文の記述のうち約3分の1は、実際には試験プロトコルに記録がなかったことなどを明らかにした。著者は、「サブグループ解析の有効性は、ほとんどが信憑性のないものだが、今回の検討で、サブグループの有効性の信憑性に関する最終的な判断は、プロトコルと分析プランへの評価なしでは行えないことが示された」と述べている。そのうえで無作為化試験のプロトコルをより完全かつ正確なものとすること、およびジャーナル編集者やレビュワー、読者のプロトコルへのアクセスのしやすさが重要であると指摘している。BMJ誌オンライン版2014年7月16日号掲載の報告より。
サブグループ解析の予定が示されていたのは28.2%
調査は、スイス、ドイツ、カナダの6つの研究倫理委員会が、2000~2003年に試験プロトコルを承認した無作為化試験894件と、それ以後に発表されたフルジャーナル発表論文515本を対象に行われた。
結果、894件のプロトコルのうち、1つ以上のサブグループ解析の予定が示されていたのは252件(28.2%)だった。そのうち、明確な仮説を1つ以上示していたのは17件(6.7%)で、サブグループ解析の有効性の方向性を予想していたのは10件(4.0%)だった。相互作用の統計的検定を予定していたのは87件(34.5%)であった。
サブグループ解析の予定は、資金提供者が企業である試験のほうが、研究者である試験と比べて有意に高率だった(195/551件[35.4%]vs. 57/343件[16.6%]、p<0.001)。
「サブグループ解析は事前規定」という発表論文のうち3分の1は裏付け取れず
発表論文515本のうち、1つ以上のサブグループ解析を報告していたのは246本(47.8%)だった。
サブグループ解析を報告していた246本のうち、著者が「サブグループ解析は事前に規定されていた」と述べていたのは81本(32.9%)だった。しかし、そのうち28本(34.6%)は、該当するプロトコルを見つけることができなかった。
また、86本で著者がサブグループ解析の有効性を主張していたが、該当するプロトコルが予定サブグループ解析で示されていたのは36本(41.9%)だけであった。
(武藤まき:医療ライター)