メタ解析で得られる推定アウトカムは、解析対象に含む試験の選択基準の違いにより、異なる結果が得られることが示された。すべての対象試験を組み込んでメタ解析を行った場合、最も正確に行われた単一試験と比べて、推定治療アウトカムは大きくなることがわかった。フランス・オテル=デュー病院のAgnes Dechartres氏らが、160件超のメタ解析論文について調べ明らかにした。JAMA誌2014年8月13日号掲載の報告より。
主観的アウトカム92論文、客観的アウトカム71論文を調査
研究グループは、影響力の大きい医療雑誌(2008~2010年)や、システマティック・レビューのコクラン・データベース(2011年から2013年)で発表された、163件のメタ解析論文について調査を行った。対象論文のうち、アウトカムが主観的だったのは92論文、客観的だったのは71論文で、それぞれについて分析を行った。
各試験の治療アウトカムの推定値については、オッズ比で評価した。すべてのメタ解析について、全試験について解析、信頼区間が最小の最も正確な試験についてのみ解析、大規模の試験についてのみ解析など、解析戦略の違いによるアウトカムへの影響を調べ、オッズ比比率で比較した。
全試験を対象にしたメタ解析で、推定アウトカムが大きい可能性
その結果、すべての試験を対象に行ったメタ解析が、単一の最も正確な試験結果に比べて、推定治療アウトカムが大きいことが示された(主観的アウトカムのオッズ比比率:1.13、95%信頼区間:1.07~1.19/客観的アウトカムのオッズ比比率:1.03、同:1.01~1.05)。
解析戦略に基づく推定アウトカム値が30%超と大きかったのは、主観的アウトカム92件のうち47件(51%)、および客観的アウトカム71件のうち28件(39%)だった。
全試験について行った場合の推定アウトカムを、大規模試験25%のみについて行った場合の推定アウトカムと比較した場合のオッズ比比率は、主観的アウトカムが1.08(同:1.04~1.13)、客観的アウトカムが1.03(同:1.00~1.06)だった。
また、全試験を対象にした解析の推定アウトカムを、よりバイアスの小さい試験についてのみ解析した推定アウトカムと比較した場合、オッズ比比率はそれぞれ、0.94(同:0.86~1.04)、1.03(同:1.00~1.06)だった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)