メタ解析、引用されても活かされず/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2014/09/10

 

 メタ解析の結果が、その後の研究デザインに活かされているケースは比較的少ないことが明らかにされた。後続試験の7割以上がメタ解析について引用しているものの、試験デザインは引用のない試験と同様だったという。スイス・ジュネーブ大学病院のCeline Habre氏らが、プロポフォール注射の疼痛予防に関する無作為化試験について、2000年に発表されたメタ解析の前後の試験を対象に行った、システマティックレビューの結果、明らかにした。BMJ誌2014年8月26日号掲載の報告より。

2013年1月までの無作為化試験を検証
 Habre氏らは、Medline、Cochrane、Embaseなどのデータベースを用いて、2013年1月までに発表されたプロポフォール注射の疼痛予防に関する無作為化試験を検索し、システマティックレビューを行った。

 2000年に発表された56件の無作為化試験(被験者総数6,264例)を対象に行ったメタ解析の、以前と以後の試験を比較し、同メタ解析の結果がその後の試験に影響を与えていたかどうかを分析した。
 
メタ解析以降の試験で、臨床的に適切なものは36%のみ
 メタ解析以後の試験数は136件(被験者総数:1万9,778例)だった。

 分析の結果、適切な盲検化を行っていた試験の割合は、メタ解析以前が10.7%、以後が38.2%で、有意に増加していた(割合差:27.5%、95%信頼区間:16.0~39.0、p<0.001)。また、最も効果のある介入と比較した試験の割合は、12.5%から27.9%に増加していた(同:15.4%、4.0~26.9%、p=0.022)。小児患者を被験者に含んだ試験の割合は、12.5%に増えていたが、有意差はみられなかった(割合差:7.1%、95%CI:-1.0~15.2%、p=0.141)。毎年発表される試験数は有意に増大し(年間中央値12本vs. 2.5本、p<0.001)、減少の傾向はみられなかった。

 メタ解析以後の試験のうち、同解析を引用していたのは72.8%(99件)だったが、その試験デザインは引用のない試験とで差はなかった。

 また、最も効果のある介入との比較が行われており、小児患者を被験者に含んでいることで、より臨床的に適切であると考えられる試験は36.0%(49件)にとどまっていた。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)