ステント留置術 vs 冠動脈バイパス術 長期転帰に有意差なし

提供元:ケアネット

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公開日:2008/05/14

 

冠動脈ステント留置術と冠動脈バイパス術(CABG)の治療効果に関する比較研究はこれまでにも行われてきたが、非保護左冠動脈主幹部の病変にはCABGが標準治療とされるため、両者の長期転帰には限られたデータしかなかった。今回、欧米よりもこの部位へのステント留置術が広く行われている韓国・カソリック大のKi Bae Seung氏らが、比較研究の結果を報告。両手技の患者死亡率に有意差は認められないものの、ステント留置術のほうが標的血管の血行再建術施行率が高まる傾向があるとしている。NEJMオンライン版2008年3月31日号、本誌2008年4月24日号より。

ステント留置術1,102例とCABG 1,138例を比較




 対象は、韓国で2000年1月~2006年6月の間に、非保護左冠動脈主幹部病変に対する治療として、ステント留置術を受けた患者1,102例と、CABGを受けた患者1,138例。コホート全体と、ステント種類別のサブグループについて、傾向スコア・マッチング法で有害転帰を比較した。比較項目は、死亡、Q波心筋梗塞か脳卒中または両者の複合転帰による死亡、標的血管血行再建術。

死亡リスク、複合転帰ともに有意差なし




結果、ステント群とバイパス群の間に、死亡リスク、複合転帰リスクで有意差は見られなかった。ステント群のハザード比は死亡リスク1.18(95%CI:0.77~1.80)、複転帰リスク1.10(同0.75~1.62)。しかし、標的血管血行再建術の施行率が、ステント群のほうがバイパス群より有意に高かった(ハザード比:4.76、95%CI:2.80~8.11)。

ステント種類別では、ベアメタル・ステント群とバイパス群の比較も、薬剤溶出ステント群とバイパス群の比較も類似の結果だったが、薬剤溶出ステント群のほうが、死亡率と複合エンドポイント発生率が高まる傾向があった。

このためKi氏らは、ステント留置術とCABGの間に、複合エンドポイント死亡率の有意差は見いだせないと結論した。ただ、ステント留置術は、薬剤溶出ステントを使用した場合でも、CABGより標的血管血行再建術の施行率が高まる傾向が見られる、としている。

(武藤まき:医療ライター)