世界の平均寿命は、1990年の65.3歳から2013年は71.5歳に延びたことが判明した。一方で死亡数は、1990年の4,750万人から2013年は5,490万人に増加した。高所得地域では、心血管疾患とがんの死亡率が、低所得地域では下痢や下気道感染による小児の死亡率がいずれも減少したという。世界の研究者による共同研究「疾病による国際的負担に関する調査(Global Burden of Disease Study:GBD)2013」の結果、明らかになったもので、Lancet誌オンライン版2014年12月18日号で報告された。
1990~2013年の世界の年齢別・性別全死亡率や疾病別死亡率を集計
GBD2013では188ヵ国を対象に、1990~2013年の毎年の年齢別・性別総死亡率や疾病別死亡率などのデータを集計した。
GBD研究は2010年版も公表されているが、2013年版ではさらに72ヵ国の最新登録データを追加し、中国やメキシコ、英国、トルコ、ロシアについては詳細データを採用しアップデートを行った。
それらの集計データを基に、240の死因について、6つの異なるモデルを用いて分析を行った。
外傷死は10.7%増加、年齢調整死亡率は21%減少
その結果、世界の平均寿命(life expectancy)は1990年の65.3歳(95%UI:65.0~65.6)から、2013年には71.5歳(同:71.0~71.9)に延長した。一方で死亡数は、1990年の4,750万人(同:4,680~4,820万人)から、2013年は5,490万人(同:5,360~5,630万人)への増加だった。
高所得地域では、心血管疾患とがんによる年齢調整死亡率が減少し、低所得地域では下痢や下気道感染による小児の死亡、新生児死亡の減少が認められた。なおサハラ砂漠以南のアフリカの地域では、HIV感染症/AIDSが原因で平均寿命が短縮。多くの感染性疾患について、死亡数や年齢調整死亡率はともに減少していた一方で、非感染性疾患については、死亡数は増加、年齢調整死亡率は減少という傾向がみられた。
外傷による死亡についてみると、1990年の430万人から2013年には480万人へと10.7%増加した。一方で、年齢調整死亡率は21%減少していた。
2013年に死亡10万人以上の原因となった疾患のうち、年齢調整死亡率が1990年から増加したのはHIV感染症・エイズ、膵臓がん、心房細動・心房粗動、薬物依存症、糖尿病、慢性腎臓病、鎌状赤血球症だった。
5歳未満児の死因上位は、下痢性疾患、下気道感染、新生児死亡、マラリアだった。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)