関節リウマチ(RA)患者では、HLA-DRB1ハプロタイプ遺伝子が疾患感受性と関連しており、放射線学的重症度、死亡、治療反応とも関連していることが明らかにされた。関連が認められたのは、HLA-DRB1ハプロタイプ遺伝子座の11にアミノ酸バリンが認められるタイプであった。英国・マンチェスター大学のSebastien Viatte氏らが、RA患者の複数のコホートを基に分析し報告した。なお今回の結果について著者は、他コホートで同様の所見がみられれば、次のステップとしてRA治療におけるHLA-DRB1ハプロタイプの位置付けを評価すべきと述べている。JAMA誌2015年4月28日号掲載の報告より。
HLA-DRB1ハプロタイプと放射線学的重症度などを分析
研究グループは、Norfolk Arthritis Register(NOAR)などRA患者の4つのコホート(被験者数:1,691例、421例、2,432例、1,846例)を基に、HLA-DRB1ハプロタイプと、放射線学的重症度、死亡率、TNF阻害薬への反応性の関連を検討した。
検討は、縦断的統計モデルを用いて、患者単位で画像診断記録を統合して行った。すべての患者は英国生まれの白人(自己申告)だった。
HLA-DRB1ハプロタイプ遺伝子は、遺伝子座11、71、74のアミノ酸バリンで16タイプを特定。主要評価項目は、Larsenスコア(範囲:0~200、スコア高値ほど関節破壊が重度)を用いた放射線学的アウトカムと画像所見上での手足機能低下、全死因死亡、28関節に基づく疾患活動性スコア(DAS 28)、およびEuropean League Against Rheumatism(EULAR)反応とした。
炎症性多発性関節炎では死亡率が1.16倍に
RA患者で、HLA-DRB1遺伝子座11にアミノ酸バリンが認められる人は、放射線学的損傷と強い関連が認められた(オッズ比:1.75、95%信頼区間:1.51~2.05)。
5年間で手足機能低下が認められた患者は、同所見が認められなかった人(ノンキャリア)では48%だったが、ヘテロ接合体キャリア患者では61%、ホモ接合体キャリア患者では74%だった。
また、HLA-DRB1遺伝子座11にアミノ酸バリンが認められる炎症性多発性関節炎患者では、全死因死亡増大との関連がみられた(ハザード比:1.16、同:1.03~1.31、p=0.01)。年間死亡率はノンキャリアは1.9%に対しキャリアは2.5%だった。
さらに、EULAR基準に基づくTNF阻害薬に対する治療反応性を増大することも認められた(オッズ比:1.14、同:1.01~1.30、p=0.04)。ノンキャリア78%に対し、ヘテロ接合体キャリアは81%、ホモ接合体キャリアは86%だった。
HLA-DRB1ハプロタイプによって定義したリスク階層は、疾患感受性、重症度、死亡率と相関していた。しかし、TNF阻害薬治療反応とは逆相関の関連が認められた。
(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)