早期再分極は心電図の所見としてはよくみられるものであり、通常は良性と考えられている。早期再分極が不整脈を引き起こす可能性については実験的研究から仮定されたが、突然の心停止と臨床上の関連があるかどうかはまだわかっていない。本論は、フランス・ボルドーのMichel Haissaguerre氏らが、心電図の早期再分極の有病率を評価した報告。NEJM誌2008年5月8日号より。
早期再分極の有病率を206例で評価
Haissaguerre氏らは22の医療機関で、特発性心室細動による心停止後、蘇生した206例の症例群についてデータを検討、心電図の早期再分極の有病率を評価した。
早期再分極は、QRS波のスラーまたはノッチとして現れ、心電図の下壁または側壁の導出部で少なくともベースラインから0.1mVのQRS-ST接合部上昇を呈したものと定義した。対照群は年齢、性、人種、身体活動レベルで適合した心臓病の既往歴がない412例で構成された。
植込型除細動器でモニタリングした結果を含む追跡データは、すべての症例から得られた。
早期再分極のある症例は心室細動の再発率が高い
早期再分極の頻度は、特発性心室細動の既往歴のある症例群が対照群より高かった(31%対5%、P<0.001)。症例群の中では、早期再分極の傾向のある例は男性がより多く、早期再分極の傾向がない例より、失神または睡眠中の突然の心停止の既往歴をもつ割合が高かった。そのうち8症例で、心室性不整脈を引き起こす期外収縮の発生部位が、再分極異常の局在化位置と一致して図示された。
平均(±SD)61±50ヵ月の追跡調査期間中、症例群の除細動器モニタリングから、再分極異常がある症例は異常のない例と比べて、心室細動の再発率がより高い値を示した(ハザード比:2.1、95%信頼区間:1.2~3.5、P = 0.008)。
研究グループは、特発性心室細動の既往歴がある症例では、早期再分極の傾向を示していた例が多いと報告している。
(医療ライター 武藤 まき)