TEX11変異、減数分裂停止のある無精子症の原因に/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2015/05/28

 

 遺伝子変異は、減数分裂停止のある無精子症の原因であることが報告された。米国ピッツバーグ大学医学部のAlexander N. Yatsenko氏らが、289例の無精子症の男性とその対照群についてスクリーニング試験を行い明らかにした。非閉塞性無精子症の遺伝的要因はこれまで明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2015年5月13日号掲載の報告より。

TEX11遺伝子について変異スクリーニング
 研究グループは、まず無精子症患者15例を対象に、アレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション試験を行い、変異遺伝子について調べた。

 次に、無精子症患者289例とその対照群384例について、TEX11遺伝子に関して、直接サンガー法シークエンシングで変異スクリーニングを行った。

減数分裂停止を伴う無精子症、TEX11変異発症率は15%
 その結果、3つのTEX11遺伝子の構造配列に関与する染色体Xq13.2上の99-kbヘミ接合損失が、無精子症患者2例で認められた。

 変異スクリーニングでは、3つのスプライス部位変異と、2つのミスセンス変異が見つかった。

 これら変異の発現率は、対照群では0%(0例)に対し無精子症群では2.4%(7例)と高率に認められた(p=0.003)。なかでも、減数分裂停止を伴う無精子症の患者では、TEX11変異が33例中5例(15%)と高い割合で認められた。また、これら患者にみられた減数分裂停止は、TEX11欠損雄マウスの表現型と類似していた。

 免疫組織化学的分析の結果では、後期精母細胞ならびに円形・伸長の精子、健康成人の精巣で、特異的な細胞質型のTEX11発現がみられた。対照的に、TEX11変異を有する無精子症患者の検査では、減数分裂停止および欠損があるTEX11発現がみられた。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)