標準外のITT解析は介入効果を過大評価/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2015/06/09

 

 標準的ITT解析から逸脱した分析を行っている無作為化試験では、介入効果がより大きく示される傾向があることが、イタリア・ウンブリア州地方健康局疫学部門のIosief Abraha氏らが、300件以上の無作為化試験についてメタ疫学研究を行い明らかにした。ITT解析から逸脱した試験結果の報告例が増える中で、そうした試験が介入効果を過大評価するかどうかについては、これまで明らかではなかったという。BMJ誌オンライン版2015年5月27日号掲載の報告より。

310件の無作為化試験について、ITT解析の内容で3群に分類
 Abraha氏らは、2006~2010年にかけて、Medlineを用いて、43件のシステマティックレビュー(50件のメタ解析含む)、310件の無作為化試験について試験を行った。

 分析対象とした試験について、(1)ITT群(標準的ITT解析を実施)、(2)mITT(modified intention to treat:標準的ではないITT解析を実施)、(3)no ITT(ITT解析について説明がない)の3群に分類した。

 各メタ解析試験の中で、ITT群とmITT群、mITT群とno ITT群について、治療効果を比較した。

mITT試験、補正後もITT試験に比べ介入効果が大
 50件のメタ解析試験、322件の無作為化試験を比較分析した(12試験については、2回重複して分析)。

 その結果、mITT試験はITT試験に比べ、介入効果がより大きく示された(統合オッズ比:0.83、95%信頼区間:0.71~0.96、p=0.01、メタ解析間分散τ2=0.13)。

 被験者数、試験センターの種類、資金源、バイアスリスク項目、無作為化後の被験者除外基準、ログオッズ比のばらつきについて補正後も、結果は変わらなかった(0.80、同:0.69~0.94、p=0.005、τ2=0.08)。

 なおmITT群とno ITT群では、有意差は認められなかった(補正後統合オッズ比:0.92、同:0.70~1.23、τ2=0.57)。

 結果を踏まえて著者は、「標準的ITT解析が実施不可能な試験については、分析に含んだ被験者について明記すべきである」と提言した。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)