英国で妊婦が週末に入院または出産した場合、平日の場合と比べて、母体および新生児の臨床的アウトカムを示す7つの指標のうち4つまでが劣っており、いわゆる“週末効果”が存在することが確認された。すべての妊婦が平日に出産した場合に比べると、年間で周産期死亡が770件、母体感染症が470件、過剰に発生していることが推定されたという。インペリアル・カレッジ・ロンドンのWilliam L. Palmer氏らが行った観察試験の結果、明らかにされた。BMJ誌オンライン版2015年11月24日号掲載の報告。
約133万件の出産と約135万例の新生児について観察試験
研究グループは2010年4月1日~12年3月31日の英国国民保健サービス病院のデータベースを基に、出産した母親と新生児の記録を調べた。出産133万2,835件と、新生児134万9,599例について、出産した曜日とアウトカムに関する観察試験を行った。アウトカムの指標は7つで、母体について3指標(会陰裂傷、産褥感染症、3日以内の緊急再入院)、新生児について4指標(院内周産期死亡、外傷、新生児感染症、3日以内の緊急再入院)だった。
妊娠期間や出生時体重、妊婦の年齢などについて補正を行い、ロジスティック回帰分析を行った。主要評価項目は、周産期死亡率、新生児と母体の感染症発症率、緊急再入院、外傷とした。
週末出産は平日出産よりハイリスク
結果、アウトカムを示す7指標中4指標で、週末入院の母体および新生児に関するアウトカム不良が有意だった。
具体的には、周産期死亡率は週末に生まれた新生児では7.3/1,000例と、平日に生まれた新生児より0.9/1,000例高かった(補正後オッズ比:1.07、95%信頼区間:1.02~1.13)。
産褥感染症率については、週末出産の平日出産に対する補正後オッズ比は1.06(同:1.01~1.11)。また、新生児の外傷に関する同オッズ比は1.06(同:1.02~1.09)だった。
仮にすべての出産が平日に行われた場合に比べ、年間約770件の周産期死亡が過剰に発生していると推定された。また、すべての妊婦が平日に入院した場合と比べ、年間約470件の母体感染症が過剰に発生していると推定された。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)