子癇前症をきたす妊婦は妊娠第1、2期の平均動脈圧が高い

提供元:ケアネット

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公開日:2008/05/30

 

妊娠第1、2期の血圧測定において、子癇前症の最も優れた予測因子は平均動脈圧であることが、オランダ・アカデミック医療センター一般医療科のJeltsje S Cnossen氏らが行ったメタ解析で明らかとなった。子癇前症は、母子ともに重篤な結果がもたらされる可能性があるため、妊娠期の重要な疾患とされる。子癇前症を呈する女性は、正常妊婦に比べ妊娠第1、2期および妊娠前の平均動脈圧が高いとする研究がある。BMJ誌2008年5月17日号(オンライン版2008年5月14日号)掲載の報告。

子癇前症の検出における種々の血圧関連因子の正確度を評価




研究グループは、子癇前症の検出における収縮期血圧、拡張期血圧、平均動脈圧、血圧上昇の正確度(accuracy)の評価を目的に、系統的なレビューとメタ解析を行った。解析対象のデータは、医学データベース、論文や総説の文献リストなどから抽出した。

記述言語に制限は設けず、子癇前症の検出を目的に妊娠中の血圧測定値の正確度を評価した論文を、2名の研究者が個々に選択した。2×2テーブルを作成するために、試験の特性、質、結果に基づいてデータが抽出された。サマリー受信者動作特性曲線(SROCC)および尤度比が種々のレベルおよびその閾値に対して算出された。

妊娠第2期平均動脈圧>90mmHgの陽性尤度比3.5、陰性尤度比0.46




34試験に登録された6万599人の女性(子癇前症3,341例)が解析の対象となった。子癇前症の低リスク群における妊娠第2期血圧測定値の収縮期血圧に対するSROCC下面積は0.68(95%信頼区間:0.64~0.72)、拡張期血圧に対するSROCC下面積は0.66(0.59~0.72)、平均動脈圧に対するSROCC下面積は0.76(0.70~0.82)であった。妊娠第1期についても類似のパターンが示された。

妊娠第2期平均動脈圧>90mmHgにおける陽性尤度比は3.5(2.0~5.0)、陰性尤度比は0.46(0.16~0.75)であった。高リスクとされた群では、妊娠13~20週の拡張期血圧>75mmHgが子癇前症を最もよく予測した[陽性尤度比:2.8 (1.8~3.6)、陰性尤度比:0.39(0.18~0.71)]。付加的なサブ解析では、予測値の正確度の改善は示されなかった。

Cnossen氏は、「妊娠第1、2期の血圧測定時は、収縮期血圧、拡張期血圧、血圧上昇よりも平均動脈圧が子癇前症のより優れた予測因子であった」と結論し、「妊娠第1、2期の健常な正常血圧女性では、初回妊産婦検診時の血圧測定は子癇前症の予測には役立たない」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)