生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)に効果不十分の難治性関節リウマチ(RA)患者に対し、新規経口薬の選択的ヤヌスキナーゼ(JAK)1および2阻害薬baricitinibの1日1回4mg投与で、12週時点の臨床的改善が認められたことが報告された。米国・スタンフォード大学医療センターのMark C. Genovese氏らが、24週間の第III相臨床試験の結果、報告した。baricitinibは第II相試験で、生物学的DMARDs投与歴のないRA患者の疾患活動性を低下したことが確認されていた。NEJM誌2016年3月31日号掲載の報告。
527例を対象に、baricitinib1日1回2mg vs.同4mg vs.プラセボ
試験は2013年1月~14年9月に、24ヵ国178施設で527例を対象に行われた。被験者は、1種類以上のTNF阻害薬、他の生物学的DMARDsの治療歴があり、十分な効果が得られなかったか、忍容できない副作用のために治療中断となった、18歳以上の中等度~重度の活動性RA患者であった。
研究グループは被験者を、baricitinib1日1回2mg投与、同4mg投与、プラセボ投与の3群に1対1対1の割合で無作為に割り付け24週間投与した。
主要エンドポイントは、米国リウマチ学会基準の20%改善(ACR20)を認めた患者の割合であった。キー副次エンドポイントとして、健康評価質問票機能障害指数(HAQ-DI)、C反応性蛋白値に基づく28関節疾患活動性スコア(DAS28-CRP)、簡易疾患活動性指標(SDAI)スコア3.3以下(尺度0.1~86.0で、スコア3.3以下が寛解を示す)を評価。分析は、12週時点の主要およびキー副次エンドポイントのタイプIエラーを調整するため、ステップワイズ階層的仮定検定法を用いて行い、最初にACR20を評価、次いでHAQ-DIスコアとDAS28-CRPのベースラインからの変化を、最後にSDAIスコア3.3以下を評価した。また、すべての評価は、最初にbaricitinib 4mg群 vs.プラセボ群を、次に、baricitinib 2mg群 vs.プラセボ群の順で行った。
12週時のACR20、4mg群 vs.プラセボ群で有意差
既治療について、生物学的DMARDsの投与が1種類であった患者は221例(42%)、2種類が160例(30%)、3種類以上が142例(27%)であった。また、それら生物学的DMARDs既治療患者のうち、TNF阻害薬による治療歴のない患者は約38%であった。
結果、主要エンドポイントの12週時点のACR20を達成した患者は、baricitinib 4mg群がプラセボ群よりも有意に多かった(55% vs.27%、p<0.001)。HAQ-DIスコア、DAS28-CRPについても、baricitinib 4mgとプラセボ群で有意差が認められたが(いずれもp<0.001)、SDAIスコア3.3以下に関しては有意差はみられなかった(p=0.14)。
24週間の有害事象の発現率は、プラセボ群(64%)よりもbaricitinib 2mg群(71%)および同4mg群(77%)で高率であった。感染症(31% vs.44%および40%)などが報告されている。
重篤有害事象の発現率は、プラセボ群7% vs. baricitinib 2mg群4%および4mg群10%であった。いずれも4mg群で、非メラノーマ皮膚がんが2例、主要有害心血管イベント(MACE)2例(うち1例は致死的脳卒中)が報告されている。
また、安全性評価の臨床検査データから、baricitinibは、好中球のわずかな減少、血清クレアチニンの増加、LDLコレステロールの増加と関連することが示唆された。
これらの結果を踏まえて著者は「さらなる試験を行い、長期の安全性と効果の持続性を評価する必要がある」とまとめている。