閉経後骨粗鬆症の女性に対し、モノクローナル抗体romosozumabの月1回投与は、1年時点の椎体骨折リスクを7割超低減し、臨床骨折リスクについても3割超の低減が認められたことが報告された。米国ヘレン・ヘイズ病院のF. Cosman氏らが、7,180例の閉経後女性を対象に行った第III相国際共同無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果で、これまでの検討で、romosozumabはスクレロスチンに結合し、骨形成を増強し、骨吸収を減少することが示されていた。NEJM誌オンライン版2016年9月18日号掲載の報告。
13~24ヵ月はデノスマブを6ヵ月ごとに投与
試験は、股関節全体または大腿骨頚部のTスコアが-2.5~-3.5の、閉経後女性7,180例を集めて行われ、閉経後骨粗鬆症の女性に対するromosozumabの有効性と安全性を評価した。
被験者を無作為に2群に分け、一方の群にはromosozumab(210mg/月)を、もう一方の群にはプラセボを12ヵ月にわたり皮下投与。その後の12ヵ月は、両群ともにデノスマブ(60mg/回)を6ヵ月に1回の頻度で皮下投与した。
主要評価項目は、12ヵ月、24ヵ月時点での新規椎体骨折の累積発生率。副次的評価項目は、非椎体骨折と症候性椎体骨折の複合エンドポイントなどだった。
2年椎体骨折リスクも75%低減
結果、12ヵ月時点の椎体骨折発生率は、プラセボ群1.8%(3,322例中59例)だったのに対し、romosozumab群は0.5%(3,321例中16例)と、7割超の有意な減少が認められた(リスク低下率73%、p<0.001)。臨床骨折発生率は、プラセボ群が2.5%(3,591例中90例)に対し、romosozumab群は1.6%(3,589例中58例)だった(リスク低下率36%、p=0.008)。
また、24ヵ月時点の椎体骨折発生率についても、プラセボ群が2.5%(3,327例中84例)に対し、romosozumab群は0.6%(3,325例中21例)と、大幅に減少した(リスク低下率75%、p<0.001)。
なお、骨化過剰症、心血管イベント、変形性関節症、がんの発生率は、両群で均衡していた。また、romosozumab群で非定型大腿骨骨折1例、顎骨壊死2例が報告された。
(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)