ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症(FH)例は若年でも冠動脈イベントリスクが著明に増加する。そのため早期発見が必要とされるが、1~9歳時に血清脂質をチェックするのが最も有効なスクリーニング法であると、英国Barts and the LondonのDavid S Wald氏らがメタ解析の結果として報告した。BMJ誌オンライン版9月13日付け早期公開された後、本誌9月22日号で収載されている。
13研究のメタ解析
Wald氏らが解析対象にしたのは、ヘテロ接合性FHと非FHにおける、総コレステロール(TC)・LDLコレステロール(LDL-C)値とFH有症率に関するデータを含む13研究18,128例。血清脂質を測定した年齢を「新生児(2試験)」、「1~9歳(5試験)」、「10代(2試験)」、「20~30代(2試験)」、「40~50代(1試験)」と「60代以上(1試験)」に分け、FH偽陽性率が0.1%、0.5%、1%となるTC、LDL-Cのカットオフ値を求め、同時にそのカットオフ値によるFH検出率を算出した。算出に必要なデータが論文に掲載されていない場合、論文著者にコンタクトをとった。
偽陽性率0.1%で90%近い検出率
するとTC、LDL-Cいずれを指標とする場合も、「1~9歳」時における検出度が最も高かった。すなわち、偽陽性率0.1%の場合、TCならばカットオフ値:1.53MoM(*)で検出率は88%(95%信頼区間:84-92%)、LDL-Cはカットオフ値2.23MoMで検出度は85%(95%信頼区間:79-89%)、いずれも各年代を通しての最高値だった。偽陽性率0.5%、1%で比較しても同様の結果だった。
筆者らは1~9歳児に対するFHスクリーニングが有用だと結論すると同時に、そのようなスクリーニングにより親の未発見FH検出にも役立つはずと主張している。
*MoM:multiples of the median。中央値の何倍かを示す。本研究では非FHの脂質中央値に対するMoMである。ちなみに、「1~9歳」のTC中央値はほぼ4m mol/Lなので、カットオフ値は4×1.53=6.1m mol(237mg/dL)となる。
(宇津貴史:医学レポーター)