米国における30日以内の再入院率は、小児から成人へ移行するに従って増加し、精神疾患を有する小児や若年/中年成人で高く、複数の慢性疾患を有する患者は全年齢で上昇していることが、米国・ボストン小児病院のJay G. Berry氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年2月27日号に掲載された。再入院の削減は、治療を改善し、医療費の抑制を可能とするため、主導的な臨床研究者や医療施策の立案者にとって重要とされる。米国では、再入院の指針や、再入院削減の臨床的介入は、65歳以上に重点が置かれ、年齢別の評価はほとんど行われていないという。
指標となる入院3,100万件以上のデータを年齢別に解析
研究グループは、米国の全年齢人口における病院への再入院の傾向およびリスク因子をレトロスペクティブに検討した(米国医療研究・品質調査機構[AHRQ]などの助成による)。
米国AHRQの全国的な入院データベースから、2013年の全疾患による指標となる入院(3,172万9,762件)のデータを収集した。
主要アウトカムは、30日以内の全原因による計画外再入院とし、再入院のオッズをロジスティック回帰を用いて年齢別に比較した。
指標となる入院時の年齢中央値は53歳(IQR:27~71)であった。79%(2,494万8,660件)が1つ以上の慢性疾患を有しており、69.7%(2,210万312件)は2つ以上の慢性疾患を有していた。
中年期にピークに達し、65歳で最低に
米国のすべての指標となる入院のうち、30日以内の予定外再入院は11.6%(367万8,018件)であった。
45歳の患者を参照基準とすると、再入院の補正後オッズ比は16歳の0.70(95%信頼区間[CI]:0.68~0.71)から20歳には1.04(1.02~1.06)へと上昇し、21歳の1.02(1.00~1.03)から44歳には1.12(1.10~1.14)へと増加したが、46歳から64歳には1.02(1.00~1.04)から0.91(0.90~0.93)へと減少し続け、65歳時に0.78(0.77~0.79)まで低下した後は、加齢とともに相対的にほぼ横ばいで推移した。
全年齢を通じて、複数の慢性疾患を有する患者は再入院の補正後オッズ比が高く、たとえば慢性疾患のない患者と比較した6つ以上の慢性疾患を有する患者の補正後オッズ比は、3.67(95%CI:3.64~3.69)に達した。
また、小児、若年成人、中年成人では、再入院率が高い指標となる入院のうち、最も頻度の高い理由の1つは精神疾患であった。
著者は、「とくに思春期や若年/中年成人において、再入院の評価やその原因の解明、再入院削減の機会に関する検討を進める必要がある」としている。
(医学ライター 菅野 守)