欧米では椎間板ヘルニアに伴う坐骨神経痛(1,000人中5、6人が毎年発症)の疼痛症状から軽減するためルーチンに手術が行われている。初発から6週間で70%は下肢痛減弱に至るが、大部分のガイドラインで手術が推奨されている。しかし障害が残ることへの恐れから保存療法を支持する手術慎重派も少なくなく、また手術の至適時期に関する知見も乏しいことから、オランダのライデン-ハーグ椎間板ヘルニア介入予後予測研究グループは、早期手術の有効性を保存療法群との比較で2年以上にわたり追跡調査を行い検討した。BMJ誌2008年6月14日号(オンライン版2008年5月23日号)にて掲載。
283例を手術群と保存療法群に無作為化し2年以上追跡
同グループは以前に追跡期間1年間での無作為化比較試験の結果を報告している。今回は追跡期間を2年以上として行った。オランダの9つの病院から集まった参加者は、坐骨神経痛を6~12週間有する椎間板ヘルニア患者283例。無作為に早期手術介入群と6ヵ月間の保存療法群(必要に応じた手術あり)とに割り付けられた。
主要転帰は、ローランド障害アンケートによるスコア、下肢痛に関するビジュアルアナログスケールによるスコア、リカート自己評価法による回復度。
手術はすみやかに痛みを軽減する
早期手術を受けるよう割り付けられた患者141例中125例(89%)は内視鏡手術を受けた。保存療法に割り付けられた患者142例中62例(44%)は、結局は手術を必要とした。7例は追跡期間2年目に手術を実施している。
2年の間の障害スコアに、全体的に有意な差は認められなかった(P=0.25)。
下肢痛の改善は、早期手術に無作為化された患者のほうが有意に早かった(P=0.05)。この早期手術の有益性は、6ヵ月までよりも、6ヵ月~24ヵ月の間で高かった。
患者満足度は、両群とも1年目よりも2年目で、わずかに減少した。全患者で見た場合2年目では、20%が不満足との結果を報告している。
以上の結果から、「早期手術は保存療法より迅速に坐骨神経痛からの軽減を成し遂げた。予後に関して2年の間に、両群に差が生じることはなかった」と結論している。また手術至適時期については今回の試験では明らかにはできなかったとし、試験対象を疼痛発症2~4週以内の患者と設定しての試験が必要だとまとめた。