薬剤溶出ステントの2年後転帰はベアメタル・ステントより有利

提供元:ケアネット

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公開日:2008/07/08

 

薬剤溶出ステント(DES)はベアメタル・ステント(BMS)より再狭窄率を低下させるが、ステント血栓症リスクの増加にも関係するという懸念は依然として強い。米国・ダートマス大学医学部のDavid J. Malenka氏らは、DES認可前と認可後にステント留置術を受けた患者群について、それぞれ2年後の転帰を比較した結果、「DESは血管再生術再施行の必要性を低下させ、死亡率とST上昇心筋梗塞のリスクはBMSと同じである」と報告した。JAMA誌2008年6月25日号より。

DES認可前後のメディケア受給者の転帰を比較




本研究は、非緊急的な冠動脈ステント留置術を受けたメディケア受給者を対象に、DESの有効性について転帰を比較するために行われた。2003年4月以前は、米国FDAが認可しメディケアが適用されたのはBMSだけだったが、その後、DESが認可されて急速に普及した。このため、BMSだけを利用できた2002年10月~2003年3月(BMS期コホート)に治療を受けたメディケア受給者38,917例と、類似疾患の患者28,086例のうち61.5%はDES、38.5%がBMS留置術を受けた2003年9~12月(DES期コホート)を追跡調査した。

主要評価項目は、冠動脈血管再生術(経皮的冠動脈介入、冠動脈バイパス術)、ST上昇型心筋梗塞、2年間の追跡調査中の生存とした。

血管再生術再施行の必要性が有意に低下




ステント留置から2年以内の経皮的冠動脈介入の再施行率を比較すると、BMS期に治療を受けた患者では20.0%、DES期の患者では17.1%だった(P<0.001)。同じく冠動脈バイパス施行率はBMS群4.2%に対してDES群は2.7%だった(P<0.01)。2つの時期における、血管再生術再施行の必要性の違いは、リスク補正後も有意差を保っていた(ハザード比:0.82、95%信頼区間:0.79~0.85)。

2年後の時点で、BMS群とDES群の未補正死亡率に違いはなかった(8.4%対8.4%、P=0.98)が、ST上昇心筋梗塞はDES群がわずかに減少した(2.4%対2.0%、P<0.001)。同期時の補正死亡率とST上昇型心筋梗塞はどちらも類似していた(ハザード比:0.96、95%信頼区間:0.92~1.01)。

Malenka氏は「ルーティンな診療におけるDESの広範な採用は、血管再生術再施行の必要性を低下させ、2年後の時点での死亡率またはST上昇型心筋梗塞のリスクはBMSと変わらない」と結論している。

(朝田哲明:医療ライター)