DNAメチル化は年齢とともに変化し家系的に類似

提供元:ケアネット

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公開日:2008/07/15

 

DNA配列がメチル化など非遺伝的要因で修飾されたことを記す、いわゆる「エピジェネティック・マーク」は、がんなどの後発性疾患を説明できるのではないかと注目されている。米国ジョンズ・ホプキンス大学医学部のHans T. Bjornsson氏らは、個々人のDNAメチル化の経時変化について調べた。JAMA誌2008年6月25日号より。

アイスランドと米国で11~16年後のDNA比較




試験は、個々人のゲノム全体のメチル化に縦断的な変化は見られるのか、また、メチル化が家系的な傾向を持つかどうかを評価することを目的に行われた。luminometric methylation assay法で定量的に、被験者の全DNAのメチル化を測定した。

対象サンプリングは、アイスランドと米国で行われた。アイスランドでは住民対象の研究参加者「アイスランド・コホート」から111例のDNAサンプルが、1991年に初回採取され、2回目採取が平均11年後の2002~2005年に行われた。米国ではユタ州での家族ベースの研究参加者「ユタ・サンプル」の126例が、初回採取は1982~1985年に、2回目採取は平均16年後の1997~2005年に行われた。

主要評価項目は、全DNAのメチル化の経時的変化とした。

年齢とともに被験者の29%でメチル化水準が変化




アイスランド・コホートのうち29%は、年齢とともに10%以上のメチル化変化を示した(P<0.001)。地理的に遠く隔たったユタ・サンプルでも、年齢に伴う個々人のメチル化変化が見られたばかりでなく、家系的に変化が類似していることも見られた(P=0.003)。

DNAの全体的なメチル化が少ない家系では、個々人についても遺伝子特異的なメチル化が少ないことも見出された。

Bjornsson氏は、「これらのデータは、DNAのメチル化が年齢とともに変化すること、またメチル化管理が遺伝的にコントロールされている可能性があることを示唆するもの」と結論している。

(朝田哲明:医療ライター)