運動不足は小児肥満症の増加と重要な関係がある。米国農務省は、1日最低60分間の「中程度から強度の身体活動」(MVPA)を推奨しているが、実際に最近の子供たちがどのように運動しているかを検証した継続的研究はほとんどなかった。米国カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部小児科のPhilip R. Nader氏らは、9~15歳の追跡調査。10代前半で運動量が急激に減少していると警告した。JAMA誌2008年7月16日号より。
9歳から15歳の1,032例を追跡調査
米国立小児保健発達研究所(National Institute of Child Health Human Development)が1991~2007年に行い、1,032例が参加した長期研究Study of Early Child Care Youth Developmentから、9歳(2000年)、11歳(2002)、12歳(2003)、15歳(2006)の各年齢におけるMVPA時間を調べた。MVPAは身体に装着した加速度計によって分単位で記録した。
参加者のうち男児は517例(50.1%)、女児は515例(49.9%)で、 白人は76.6%(n=791)、低所得世帯は24.5%(n=231)だった。
主要評価項目は、参加者が加速度計を4~7日間装着して計測した時間数から割り出した、1日当たりの平均MVPA時間(分)。
女児13歳、男児14歳ごろ基準を下回る
この結果、MVPA時間は、 9歳児では週末も平日も1日に約3時間だった。しかしMVPA時間は年々短縮し、週末で毎年41分間、平日でも38分間ずつ減少。15歳までに、週末で平均35分間、平日で平均49分間となっていた。男児は女児より週末で平均13分間、平日で平均18分間だけ長かったが、MVPA時間の減少率は、男女とも同じだった。
推奨されたMVPA時間(平日60分間)を下回ったのは、女児では13.1歳前後。男児では14.7歳前後と推定される。週末推奨時間を回ったのは、女児が12.6年、男児が13.4歳だったとみられる。
この研究コホートでは、身体活動は9歳から15歳の間に有意に減少した。
(朝田哲明:医療ライター)