薬剤耐性HIV-1にraltegravirと至適基礎療法の併用が有効

提供元:ケアネット

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公開日:2008/08/06

 

既存の抗レトロウイルス薬に感受性または耐性を示す活性ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)に対しても、HIV-1インテグレース阻害剤のraltegravir(MK-0518)は活性を示す。raltegravirの国際的第III相臨床試験BENCHMRKにおいて、抗レトロウイルス療法に失敗し治療の選択肢が限られた3クラス薬剤耐性HIV-1感染患者に、raltegravirを至適基礎療法と併用することで良好なウイルス抑制効果があることが報告された。ニューヨーク州立大学Roy T. Steigbigel氏らによる報告は、NEJM誌2008年7月24日号にて掲載された。

2地域699例で有効性と安全性を比較




raltegravir+至適基礎療法の併用による安全性と有効性をプラセボとの比較評価で検討するために、異なる地域で2つの同一試験を行った。

試験対象患者(703例中699例)は、raltegravir群とプラセボ群に2対1の比率で無作為に割り付けられ試験薬が投与された(raltegravir群462例、プラセボ群237例)。

699例中17例(2.4%)は16週以前に試験中止となった。そのうち中止理由が治療に関係していたのは13例(raltegravir群7例;同群全体の1.5%、プラセボ群6例:同2.5%)。なお2つの試験結果の整合性はとれている。

48週時点でもHIV-1 RNAレベルを有意に抑制




試験中止例を治療失敗例とし、16週時点での結果を比べてみると、HIV-1 RNA量が400コピー/mL未満に抑制されたのは、プラセボ群では236例中99例(41.9%)だったのに対して、raltegravir群は458例中355例(77.5%)だった(P<0.001)。

同じ16週時点で、HIV-1 RNAレベルが 50コピー/mL以下に抑制されたのは、プラセボ群の34.7%に対して、raltegravir群は61.8%。48週時点では、プラセボ群32.9%に対して、raltegravir群は62.1%に達した(両群間比較P<0.001)。

プラセボ群の1.7%、raltegravir群の3.5%に癌が見つかった(追跡調査期間は未補正)。有害事象の頻度は、両群で同程度だった。

このように治療の選択肢が限られたHIV感染患者に対して、raltegravirと至適基礎療法の併用療法を行うほうが、至適基礎療法だけを行った場合よりも、少なくとも48週にわたり良好なウイルス抑制効果が認められた。

(武藤まき:医療ライター)