家族歴のある大腸癌患者の再発と死亡リスクは低い

提供元:ケアネット

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公開日:2008/08/12

 



一親等親族に大腸癌患者がいた場合、大腸癌発症リスクは増大するが、癌再発と生存に家族歴がどう影響するか明らかではない。米国・ハーバード大学医学部ダナ・ファーバー癌研究所のJennifer A. Chan氏らは、「ステージIIIの大腸癌患者に大腸癌の家族歴がある場合は、再発と死亡は有意に減少する」と報告した。JAMA誌2008年6月4日号より。

術後補助治療を受けた患者1,087例を5年間追跡調査




1999年4月~2001年5月に行われた無作為補助的化学療法治験「CALGB 89803」に参加したステージIIIの大腸癌患者1,087例を対象に、前向き観察研究を行った。患者はベースラインで家族歴に関するデータを提供しており、2007年3月までの間、疾患再発と死亡を追跡調査した(追跡期間中央値:5.6年)。

主要評価項目は、大腸癌の既往歴の有無に従う、疾患のない生存、再発のない生存および全生存とした。

一親等親族に既往歴がある人数が多いほどリスク低下




1,087例のうち195例(17.9%)は、一親等親族に大腸癌の家族歴があった。癌再発または死亡は、家族歴のある群195例では57例(29%、95%信頼区間:23~36%)だが、家族歴のない群892例では343人(38%、35~42%)だった。家族歴のない群と比べて、家族歴のある群(一親等親族1人以上)の補正ハザード比は、疾患のない生存0.72(95%信頼区間:0.54~0.96)、再発のない生存0.74(0.55~0.99)、全生存0.75(0.54~1.05)だった。

家族歴と、癌再発および死亡のリスク減少の関連は、一親等親族の発症経験者が多いほど強い。

家族歴のない群に比べ、既往歴のある親族が1人いた群の、疾患のない生存の多変量ハザード比は0.77(95%CI:0.57~1.04)。既往歴のある親族が2人以上の群では、同0.49(0.23~1.04、家族歴のある親族数の増加傾向P=0.01)で、より大幅なリスク低下が見られた。

Chan氏は「補助化学療法を受けているステージIIIの大腸癌患者で、家族に大腸癌の既往歴がある場合は、癌再発と死亡が有意に減少する」と結論している。

(朝田哲明:医療ライター)