肥満女児は肥満女性に育つ?:日本人女性の場合

提供元:ケアネット

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公開日:2008/09/12

 

日本人女性では、小児期に過体重のコホートが必ずしも若年成人期まで過体重のまま成長するわけではないことが、日本の国民栄養調査のレトロスペクティブな解析で明らかとなった。現在、小児肥満が世界的な規模で急増している。小児期の肥満は成人期の肥満の原因となり、肥満関連疾患の発症率を高めるとされるため、小児肥満は公衆衛生学上の重大な関心事であるという。帝京大学医学部衛生学公衆衛生学のIkuko Funatogawa氏が、BMJ誌2008年8月21日号で報告した。

日本人女性の世代別のBMIを比較




研究グループは、日本人女性の世代別(小児期~思春期~若年成人期)のBMIの増加曲線を1930~1999年に誕生した出生コホートにおいて比較するために、1948~2005年に実施された反復横断的年次全国調査(国民栄養調査)のレトロスペクティブな解析を行った。

対象は1~25歳の日本人女性7万6,635人、主要評価項目はBMIとした。

最近は、小児期に過体重で、成人期には痩身の傾向




全般的に、日本人女性のBMIは就学前の児童期(2~5歳)には低下し、小児期(6~12歳)および思春期(13~18歳)に増加に転じ、若年成人期(19~25歳)にはわずかに低下していた。しかし、出生コホートの年代によってBMI増加曲線に違いが見られた。

最近の年代のコホートは小児期には過体重で、成人期に痩身となる傾向が見られた。幼小児期のBMIの増加は、古い年代よりも最近の年代のコホートのほうが大きかった。しかし、思春期にはBMIの増加は小さくなり、若年成人期にはBMIが減少し始めた。ピーク値は古い年代よりも最近の年代のコホートで低かった。若年成人期女性のBMIの減少はあらゆる年代の出生コホートで類似していた。

著者は、「日本人女性では、小児期に過体重のコホートが、必ずしも若年成人期まで過体重のまま成長するわけではない」と結論し、「肥満およびやせの研究では、特定の年齢におけるBMIの長期的な傾向だけでなく、広範な年齢層の出生コホートのBMI増加曲線をも考慮すべきである」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)