低用量アスピリンは、認知機能に影響を及ぼさない

提供元:ケアネット

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公開日:2008/09/19

 

中高年の認知機能低下には多発梗塞性など心血管疾患が関与しているが、ならば抗血栓作用のあるアスピリンを投与することで認知機能低下を食い止められるのではないか。もしくはアスピリン投与が脳出血を促し悪化させる作用があるかもしれない。適度に心血管リスクが増した無症候性アテローム性動脈硬化症患者に対するアスピリン投与の効果を評価する試験(AAA試験:aspirin for asymptomatic atherosclerosis trial)研究グループによる無作為化試験の結果が、BMJ誌2008年9月1日号で報告された。

50歳以上の男女3,350例を対象に無作為化二重盲検プラセボ対照試験




無作為化二重盲検プラセボ対照試験として行われた本研究は、中部スコットランドに居住する50歳以上の男女3,350例が参加して行われた。

参加者には、低用量アスピリン(100mg/日)またはプラセボが5年間投与。

主要転帰は、無作為化5年後時点での、記憶、実行管理機能、言葉によらない推論、精神的柔軟性、情報処理に関するテストの結果とした。

5年経っても認識テストの結果に差異は現れず




ベースラインでの平均語彙スコア(事前認識能力指標)は、アスピリン群30.9(SD 4.7)、プラセボ群31.1(SD 4.7)で同様だった。

5年の追跡期間を経ても、intention-to-treat解析の結果、両群間に認識スコアの有意な差は現れなかった。トータルでの認識テストの合格率はアスピリン群32.7%、プラセボ群34.8%で、オッズ比0.91、95%信頼区間0.79~1.05、P=0.20。またそれぞれの認識試験ごとに見ても平均スコアに差異はなかった。

ベースラインで詳細な認識テストを受けた504例から成るサブセット群にも、5年にわたって認識能力に変化はなかった。

研究グループは「低用量アスピリン投与は、認知機能に影響を及ぼさない」と結論している。