最近のMD/PhD選択者の特性と職業意識

提供元:ケアネット

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公開日:2008/09/23

 

MD/PhDプログラムの選択者は米国医学生全体からみればごく一部に過ぎないが、彼らは将来、医師の間で主要な役割を演じることが期待されている。米国・ワシントン大学医学部のDorothy A. Andriole氏らは、このMD/PhDプログラム選択者の特性と職業意識について、MDプログラム卒業生との比較調査を行った。JAMA誌2008年9月10日号より。

米国医科大学卒業生8万8千人余りの調査データを分析




最近の医科大学卒業生にとってMD/PhDプログラム選択に働く要因は何なのかを特定するため、Andriole氏らは2000年~2006年の米国医科大学卒業生8万8,575人分のサンプルデータを分析した。データは各大学共通で用いた調査用紙Association of American Medical Colleges Graduation Questionnaireからサンプリングした。

学位取得プログラムの違いと結びついた卒業生の特徴やキャリアプランに関係する項目への回答を検証するため、多変量ロジスティック回帰分析を用いて変数ごとに補正オッズ比を示した。主要評価項目はMD/PhDプログラムによる学位取得。

MD/PhDプログラム選択の動機は研究への関与、少ない就学負担など




完全なデータが揃った7万9,104人(2000~2006年の卒業生の71.7%)の回答者のうち、1,833人(2.3%)がMD/PhDプログラムの卒業生だった。

MD/PhDプログラム選択に、より強く関連する変数には次のようなものが含まれた。研究業務への深い関与(オッズ比:10.30)、就学負担(15万ドル以上と比較して10万~14万9,999ドル:1.85、5万~9万9,999ドル:5.50、1~4万9,999ドル:17.50、負債なし:17.41)、医学部奨学金または研究費の受領(3.22)などとなっている。

内科学の修練と比較して、MD/PhD卒業生は皮膚科学、神経学、眼科学、病理学、小児科学または放射線学の修練と正の関連が見られた。

MD/PhD選択とあまり関連しない変数としては、女性であること(オッズ比:0.68)、少数民族であること(0.64)、救急医学(0.58)、外科学(0.70)の修練(内科学と比べて)だった。

これらの結果からAndriole氏は、MD/PhD卒業生はMDプログラムの卒業生と比較して、人種・民族的多様性がなく、就学負担を抑えること、専門分野への独特の嗜好があり、研究業務への関与に強い関心をもつ傾向があること、などを指摘している。

(朝田哲明:医療ライター)