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asciminib、新規診断の慢性期CMLに有効/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2024/06/19

 

 新規に慢性期の慢性骨髄性白血病(CML)と診断された患者の治療において、ABLミリストイルポケットを標的とするBCR::ABL1阻害薬asciminibは、担当医が選択した第2世代チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)やイマチニブと比較して、分子遺伝学的大奏効(MMR)の達成割合が有意に高く、安全性プロファイルも良好であることが、ドイツ・イエナ大学病院のAndreas Hochhaus氏らASC4FIRST Investigatorsが実施した「ASC4FIRST試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年5月31日号に掲載された。

第1/2世代TKIと比較する国際的な無作為化第III相試験

 ASC4FIRST試験は日本を含む国際的な多施設共同非盲検無作為化第III相試験であり、2021年11月~2022年12月に参加者の無作為化を行った(Novartisの助成を受けた)。

 年齢18歳以上、登録前3ヵ月以内に新規の慢性期CMLと診断された患者405例を登録した。これらの患者を、asciminibの投与を受ける群に201例、担当医が選択したTKI(第1世代TKIイマチニブまたは第2世代TKI[ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ])の投与を受ける群に204例(イマチニブ群102例、第2世代TKI群102例)を無作為に割り付けた。

 主要評価項目は、48週時点でのMMR(BCR::ABL1IS≦0.1%)とし、asciminibと担当医選択TKI、asciminibとイマチニブの比較を行った。

第2世代TKIとの比較では差がない

 追跡期間中央値は、asciminib群が16.3ヵ月、担当医選択TKI群は15.7ヵ月であった。

 48週時のMMRの達成割合は、asciminib群が67.7%、担当医選択TKI群は49.0%であり、イマチニブ群との比較ではasciminib群が69.3%、イマチニブ群は40.2%であった。

 これらMMR達成割合のasciminib群と担当医選択TKI群の群間差は18.9ポイント(95%信頼区間[CI]:9.6~28.2、補正後両側p値<0.001)、asciminib群とイマチニブ群の群間差は29.6ポイント(16.9~42.2、p<0.001)であり、いずれもasciminib群で有意に優れた。

 一方、asciminib群と第2世代TKI群の比較では、48週時のMMR達成割合はそれぞれ66.0%および57.8%と、両群間に有意な差を認めなかった(群間差:8.2ポイント、95%CI:-5.1~21.5)が、この比較は主要評価項目ではなかった。

Grade3以上、投与中止に至った有害事象の頻度は低い

 安全性プロファイルは、イマチニブや第2世代TKIに比べasciminib群で良好であった。Grade3以上の有害事象および試験薬の投与中止の原因となった有害事象の頻度は、イマチニブ(それぞれ44.4%、11.1%)、第2世代TKI(54.9%、9.8%)と比較してasciminib群(38.0%、4.5%)で低かった。また、試験薬に関連した死亡例は認めなかった。

 著者は、「慢性期CMLの1次治療の選択は微妙であり、患者の目標やその他の患者固有の要因によって異なる。本試験では、無作為化前のTKIの選択は患者の希望を考慮して担当医が行ったため、共有意思決定が可能であった」とまとめ、「asciminibの有益性をさらに明らかにするには、長期の追跡調査を要する」としている。

(医学ライター 菅野 守)