D型肝炎へのbulevirtide、PEG-IFN上乗せが有効/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2024/06/27

 

 慢性D型肝炎に対して、bulevirtide+ペグインターフェロン アルファ-2a(PEG-IFNα-2a)の併用療法はbulevirtide単独療法と比べて、治療後24週時点のD型肝炎ウイルス(HDV)RNA陰性化率の評価において優れることが示された。フランス・パリ・シテ大学のTarik Asselah氏らが第IIb相非盲検無作為化試験の結果を報告した。bulevirtide単独療法は慢性D型肝炎患者におけるウイルス学的奏効をもたらすことが、第III相試験において示されている。また、PEG-IFNα-2aは本疾患へ適応外使用されているが、両薬の併用によりウイルス学的抑制が強化され、慢性D型肝炎患者の投与期間を限定した治療となりうるのかは明らかにされていなかった。NEJM誌オンライン版2024年6月6日号掲載の報告。

治療終了後24週時点のHDV RNA陰性化率を評価

 研究グループは、PCRによりHDV RNA陽性、スクリーニング時のALT値が正常上限値の1倍超10倍未満である18~65歳の慢性D型肝炎患者を、以下の4群に1対2対2対2の割合で無作為に割り付けた。(1)PEG-IFNα-2a(180μg/週)を48週間皮下投与(PEG-IFNα-2a単独群)、(2)bulevirtide 2mg/日の96週間皮下投与+前半48週間はPEG-IFNα-2a(180μg/週)を皮下投与(bulevirtide 2mg+PEG-IFNα-2a併用群)、(3)bulevirtide 10mg/日の96週間皮下投与+前半48週間はPEG-IFNα-2a(180μg/週)を皮下投与(bulevirtide 10mg+PEG-IFNα-2a併用群)、(4)bulevirtide 10mg/日を96週間皮下投与(bulevirtide 10mg単独群)。

 すべての患者が、治療終了後48週間フォローを受けた。

 主要エンドポイントは、治療終了後24週時点のHDV RNA陰性化率とした。主要比較は、bulevirtide 10mg+PEG-IFNα-2a併用群vs.bulevirtide 10mg単独群で行われた。

HDV RNA陰性化率はbulevirtide 10mg+PEG-IFNα-2a併用群46%、bulevirtide 10mg単独群12%

 175例が無作為化され、治療を受ける前にPEG-IFNα-2a単独群に割り付けられた1例が同意を撤回。PEG-IFNα-2a単独群24例、bulevirtide 2mg+PEG-IFNα-2a併用群50例、bulevirtide 10mg+PEG-IFNα-2a併用群50例、bulevirtide 10mg単独群50例が割り付けられた治療を受けた。

 患者の人口統計学的およびベースライン特性は、おおむね治療群間でバランスがとれていた。男性・白人が多く、平均年齢は41歳。約3分の1の患者が肝硬変に罹患。ほぼ全員(97%)がHDV遺伝子型1型で、79%がHBV遺伝子型D型であった。また84例(48%)は過去にIFN療法を受けていた。

 治療終了後24週時点でHDV RNA陰性化率は、PEG-IFNα-2a単独群17%、bulevirtide 2mg+PEG-IFNα-2a併用群32%、bulevirtide 10mg+PEG-IFNα-2a併用群46%、bulevirtide 10mg単独群12%であり、主要比較の群間差は34%ポイント(95%信頼区間:15~50、p<0.001)であった。

 治療終了後48週時点のHDV RNA陰性化率は、それぞれ25%、26%、46%、12%であった。

 最も多くみられた有害事象は、白血球減少症、好中球減少症および血小板減少症であったが、有害事象の大半はGrade1または2だった。

(ケアネット)