中等症~重症クローン病、リサンキズマブvs.ウステキヌマブ/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2024/07/29

 

 中等症~重症のクローン病患者を対象としたリサンキズマブとウステキヌマブの直接比較試験において、リサンキズマブのウステキヌマブに対する、24週時の臨床的寛解の非劣性および48週時の内視鏡的寛解の優越性が認められたことが、28ヵ国187施設で実施された第IIIb相無作為化非盲検評価者盲検比較試験「SEQUENCE試験」で示された。フランス・Centre Hospitalier Regional Universitaire de NancyのLaurent Peyrin-Biroulet氏らが報告した。NEJM誌2024年7月18日号掲載の報告。

24週時の臨床的寛解と48週時の内視鏡的寛解を直接比較

 研究グループは、18~80歳で、3ヵ月以上前に中等症~重症のクローン病と診断され、1種類以上の抗TNF-α抗体製剤で効果不十分または不耐容の患者を、リサンキズマブ群またはウステキヌマブ群に1対1の割合に無作為に割り付け、標準用量を48週間投与した。

 主要エンドポイントは2つで、24週時の臨床的寛解および48週時の内視鏡的寛解であった。臨床的寛解はクローン病活動指数(CDAI、範囲:0~600、高スコアほど疾患活動性が高い)が150未満、内視鏡的寛解は簡易版クローン病内視鏡スコア(SES-CD、範囲:0~56、高スコアほど重症)が4点以下かつベースラインから2点以上低下し、個々のサブスコアに1を超えるものがないこと、と定義した。

 解析対象は、24週時の臨床的寛解については24週時の評価を完了した患者または試験から離脱した患者の最初の50%、48週時の内視鏡的寛解については全例であった。

 主要エンドポイントは階層的に検定し、24週時の臨床的寛解で非劣性(両群のリスク差の95%信頼区間[CI]の下限が-10%より大きい)が検証された場合に、48週時の内視鏡的寛解について両側有意水準0.05で優越性を検定した(層別Cochran-Mantel-Haenszel検定)。

 また、リサンキズマブまたはウステキヌマブを少なくとも1回投与されたすべての患者を対象として安全性を評価した。

リサンキズマブは2つの主要エンドポイントを達成

 計527例がリサンキズマブ群(262例)、ウステキヌマブ群(265例)に無作為化され、少なくとも1回の投与を受けた。リサンキズマブ群の7例が非標準用量投与のため除外され、リサンキズマブ群255例およびウステキヌマブ群265例が有効性解析対象集団(full intention-to-treat集団)となった。それぞれ230例(90.2%)および193例(72.8%)が割り付けられた治療を完了した。

 2つの主要エンドポイントはいずれも達成された。24週時の臨床的寛解率は、リサンキズマブ群58.6%(75/128例)、ウステキヌマブ群39.5%(54/137例)、補正後群間差18.4ポイント(95%CI:6.6~30.3)であり、リツキシマブ群のウステキヌマブ群に対する非劣性が示された。

 48週時の内視鏡的寛解率は、リサンキズマブ群31.8%(81/255例)、ウステキヌマブ群16.2%(43/265例)であり、補正後群間差15.6ポイント(95%CI:8.4~22.9、p<0.001)で、リツキシマブ群のウステキヌマブ群に対する優越性が確認された。

 有害事象、重篤な有害事象、投与中止に至った有害事象の発現率は両群で同程度であった。

(ケアネット)

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コメンテーター : 上村 直実( うえむら なおみ ) 氏

国立国際医療研究センター国府台病院 名誉院長

東京医科大学 消化器内視鏡学講座 兼任教授

J-CLEAR評議員