英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のKatherine E. Gallagher氏らは、生後6週以上8週未満児において、10価および13価肺炎球菌結合型ワクチン(それぞれPCV10[GSK製]、PCV13[ファイザー製])の減量接種による免疫原性について検討し、PCV13の40%用量の3回接種(初回免疫2回、追加免疫1回)は全量接種に対し全血清型で非劣性が認められたことを報告した。PCVワクチンは、定期予防接種の中でも高価なワクチンであることから、減量接種レジメンがワクチン接種プログラムの持続可能性を高める1つの選択肢となりうることが期待されていた。NEJM誌オンライン版2024年9月26日号掲載の報告。
PCV10およびPCV13の各40%用量と20%用量を全量と比較
研究グループは、ケニアのキリフィおよびモンバサの9施設において、生後6週以上8週未満の健康な新生児を以下の7群へ無作為に均等に割り付け、生後18ヵ月まで追跡調査を行った。
A群:PCV13全量接種
B群:PCV13の40%用量接種
C群:PCV13の20%用量接種
D群:PCV10全量接種
E群:PCV10の40%用量接種
F群:PCV10の20%用量接種
G群:既存スケジュールでPCV10全量接種
A~F群では、初回免疫2回(1回目:登録時、2回目:56日後)、追加免疫1回(生後約9ヵ月時)の計3回接種し、G群では初回免疫3回(登録時、28日後、56日後)を接種し、追加免疫はなしとした。A~F群は、児の保護者およびワクチン接種チーム以外の全試験スタッフが割り付けを盲検化されたが、G群のみは盲検化できなかった。
初回免疫完了後、4週間ごとに4回血液検体を採取するとともに、8週間ごとに2回鼻咽頭スワブを採取し(生後約9ヵ月および約18ヵ月時)、免疫原性を評価した。
非劣性の基準は、3回目接種の4週後に各減量群の全量群に対するIgG幾何平均抗体濃度(GMC)の比の95%信頼区間(CI)の下限が0.5超であり、初回免疫完了の4週後(参加者が生後約18週になった時)に血清型特異的IgG抗体濃度0.35μg/mL以上に達した参加者の割合の差の95%CIの下限が-10%超とした。また、ワクチンの用量は、PCV10群では血清型10種中8種以上、PCV13群では血清型13種中10種以上で非劣性基準を満たした場合に、非劣性が示されると事前に規定した。抗体保有率は生後約9ヵ月および約18ヵ月時に評価した。
PCV13の40%用量の3回接種は、全量接種に対して非劣性
2019年3月~2021年11月(2020年3月~10月はCOVID-19パンデミックのため中断)に計2,100例の乳児が登録され、2,097例が無作為化された。生後18ヵ月時のper-protocol解析集団は計1,572例(75%)であり、抗体保有率の解析対象は生後9ヵ月時が1,439例(69%)、生後18ヵ月時が1,364例(65%)であった。
per-protocol解析の結果、PCV13の40%用量(B群)は、初回免疫2回接種後に13血清型中12血清型、追加免疫後に13血清型中13血清型について非劣性基準を満たした。PCV13の20%用量(C群)、PCV10の40%用量(E群)および20%用量(F群)については、全量接種に対する非劣性は示されなかった。
生後9ヵ月時および18ヵ月時におけるワクチン血清型の抗体保有率は、PCV13の各群間で同程度であった。
(ケアネット)