新規3剤配合降圧薬GMRx2、2剤併用より有効/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2024/10/31

 

 テルミサルタン、アムロジピン、インダパミドの新規3剤配合降圧薬GMRx2は、2剤併用薬と比較して臨床的に意義のある降圧をもたらし、忍容性も良好であった。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のAnthony Rodgers氏らが、オーストラリア、チェコ、ニュージーランド、ポーランド、スリランカ、英国および米国の83施設で実施した無作為化二重盲検実薬対照比較試験の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「GMRx2は血圧管理の新たな治療選択肢であり、臨床診療における血圧コントロールの大きな改善をもたらす可能性がある」とまとめている。Lancet誌2024年10月19日号掲載の報告。

GMRx2と、各成分2剤併用の計4群を比較

 研究グループは、未治療または降圧薬を1~3剤投与されている18歳以上の高血圧患者を登録した。適格基準は、スクリーニングの収縮期血圧が未治療で140~179mmHg、降圧薬1剤で130~170mmHg、2剤で120~160mmHg、3剤で110~150mmHgであった。

 4週間の導入期に、治療薬をGMRx2の半量(テルミサルタン20mg、アムロジピン2.5mg、インダパミド1.25mg)に切り替えた。その後、GMRx2半量投与継続群、テルミサルタン20mg+アムロジピン2.5mg群、テルミサルタン20mg+インダパミド1.25mg群、またはアムロジピン2.5mg+インダパミド1.25mg群に2対1対1対1の割合で無作為に割り付け、6週間投与した。6週目の来院時に臨床的な禁忌がない限り、すべての群で用量を2倍に増量し、さらに6週間投与した。

 有効性の主要アウトカムは、自宅にて座位で測定した収縮期血圧のベースラインから12週時までの平均変化量、副次アウトカムは6週時および12週時における診察室血圧と家庭血圧のベースラインからの変化量、血圧コントロール達成率などであった。安全性の主要アウトカムはベースラインから12週時までの有害事象による治療中止とした。

12週時のSBP平均変化量、血圧コントロール達成率ともGMRx2群が優れる

 2021年7月9日~2023年9月1日に、2,244例が導入期に登録され、このうち1,385例が4群に無作為に割り付けられた(GMRx2群551例、テルミサルタン+インダパミド群276例、テルミサルタン+アムロジピン群282例、アムロジピン+インダパミド群276例)。患者背景は、平均(±SD)年齢59±11歳、女性712例(51%)、男性673例(48.6%)、無作為化された患者のスクリーニング時の平均血圧は142/85mmHgであった。GMRx2半量の導入期後、無作為化時の平均血圧は医療機関で133/81mmHg、家庭で129/78mmHgであった。

 12週時の家庭収縮期血圧平均値はGMRx2群が126mmHgであり、各2剤併用群より有意に低かった。主要アウトカムであるベースラインから12週時までの収縮期血圧の平均変化量の群間差は、対テルミサルタン+インダパミド群で-2.5mmHg(95%信頼区間[CI]:-3.7~-1.3、p<0.0001)、対テルミサルタン+アムロジピン群で-5.4mmHg(-6.8~-4.1、p<0.0001)、対アムロジピン+インダパミド群で-4.4mmHg(-5.8~-3.1、p<0.0001)であった。

 同様に、医療機関で測定した収縮期血圧/拡張期血圧の変化量の差はそれぞれ-4.3/-3.5mmHg、-5.6/-3.7mmHg、-6.3/-4.5mmHgであった(いずれもp<0.001)。

 12週時の140/90mmHg未満の血圧コントロール達成率はGMRx2群74%、テルミサルタン+インダパミド群61%、テルミサルタン+アムロジピン群61%、アムロジピン+インダパミド群53%であり、GMRx2群で有意に高値であった。

 有害事象による治療中止はGMRx2群で11例(2%)、テルミサルタン+インダパミド群で4例(1%)、テルミサルタン+アムロジピン群で3例(1%)、アムロジピン+インダパミド群で4例(1%)にみられたが、いずれも統計学的有意差はなかった。

(ケアネット)

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コメンテーター : 桑島 巖( くわじま いわお ) 氏

J-CLEAR理事長

東都クリニック 高血圧専門外来