再発・難治性B細胞性ALLにobe-celが有効/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2024/12/16

 

 obecabtagene autoleuce(l以下obe-cel)は、自家41BB-ζ抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法であり、毒性作用を軽減してCAR-T細胞の生着と持続性を改善するために、CD19に対する親和性が中等度のCARを使用している。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのClaire Roddie氏らは「FELIX試験」において、再発または難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)の成人患者の治療として、obe-celは高い割合で持続的奏効をもたらし、Grade3以上の免疫関連毒性作用の発現率が低いことを示した。研究の成果は、NEJM誌2024年12月12日号で報告された。

3ヵ国の第Ib/II相試験

 FELIX試験は、再発・難治性B細胞性ALLにおけるobe-celの安全性、有効性、拡張性の評価を目的とする第Ib/II相試験であり、3ヵ国(スペイン、英国、米国)の34施設で患者を登録した(Autolus Therapeuticsの助成を受けた)。

 年齢18歳以上の再発または難治性のB細胞性ALL患者を対象とし、主要コホートであるコホート2Aは形態学的病変(骨髄芽球≧5%)を有する患者、コホート2Bは測定可能な微小残存病変(MRD)(骨髄芽球<5%)を有する患者とした。

 患者は、obe-celを製造するために白血球アフェレーシスを受けた。ブリッジング療法は、担当医の裁量で必要に応じて行われた。obe-celは、リンパ球除去療法後に、骨髄負荷(bone marrow burden)を調整した分割用量で投与した。1回目の投与後に、重篤な毒性作用や未解消の毒性作用がない場合に2回目の投与を行った。

 主要エンドポイントは、コホート2Aにおける全寛解(完全寛解[CR]+血球数の回復が不十分な完全寛解[CRi])とし、副次エンドポイントとして無イベント生存、全生存、安全性を評価した。

全寛解は77%

 153例を登録し、このうち127例(83.0%)が少なくとも1回のobe-celの投与を受け、評価が可能であった。127例の年齢中央値は47歳(範囲:20~81)、女性が61例(48%)で、前治療ライン数中央値は2(範囲:2~6)であり、52.0%が最終の前治療時に難治性であった。56例(44.1%)が同種幹細胞移植を受けており、登録時の骨髄芽球中央値は40%(範囲:0~100)だった。

 コホート2A(94例、追跡期間中央値20.3ヵ月)における全寛解の割合は77%(95%信頼区間[CI]:67~85)であり、このうちCRが55%(45~66)、CRiは21%(14~31)であった。事前に規定された帰無仮説は、全寛解(≦40%)および完全寛解(≦20%)のいずれについても棄却された(p<0.001)。

 少なくとも1回の投与を受けた127例(追跡期間中央値21.5ヵ月)の無イベント生存期間中央値は11.9ヵ月(95%CI:8.0~22.1)であり、推定6ヵ月無イベント生存率は65.4%、12ヵ月無イベント生存率は49.5%であった。また、全生存期間中央値は15.6ヵ月(12.9~評価不能)で、推定6ヵ月全生存率は80.3%、12ヵ月全生存率は61.1%だった。

Grade3以上のICANSは7.1%

 サイトカイン放出症候群は87例(68.5%)に発現し、このうちGrade3以上は3例(2.4%)であった。また。免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は29例(22.8%)に、Grade3以上は9例(7.1%)に認めた。

 obe-cel投与後60日以内に、発熱性好中球数減少が31例(24.4%)で発生し、5例が感染症で死亡した。obe-celに起因する死亡は2例にみられ、1例はICANSの進行を伴う急性呼吸窮迫症候群、もう1例は好中球減少性敗血症によるものであった。
 著者は、「obe-cel投与後の重篤なICANSはリンパ球除去療法前の骨髄負荷が高度(芽球>75%)な患者にほぼ限定されていたことから、骨髄負荷が軽度(芽球<5%)の患者では、obe-celを外来で安全に投与できる可能性が示唆される」「obe-celは、より早期の治療ラインでの地固め療法としても検討に値する」としている。

(医学ライター 菅野 守)