院外心停止に対する、1次救命処置(BLS)および2次救命処置(ALS)の打ち切りルールに関する検証研究が、CARES Surveillance Groupによって行われた。ルール確定は、乏しい医療資源の活用につながるとの観点による。JAMA誌2008年9月24日号掲載。
8都市からの院外停止報告例7,235例を検証
OPALS(Ontario Prehospital Advanced Life Support)研究グループによって提示されている、1次救命処置(BLS)および2次救命処置(ALS)の2つの院外蘇生術の打ち切りに関するルールを見定める検証研究は、2005年10月1日~2008年4月30日の間の、CARES(Cardiac Arrest Registry to Enhance Survival)のデータを用いて行われた。CARESに報告されていた、8都市(アンカレッジ、アトランタ、ボストン、ローリー、シンシナティ、コロンブス、オースティン、ヒューストン)にわたる病院および救急医療サービスシステム(EMS:emergency medical services)からの院外停止患者報告例7,235例のうち、5,505例が解析対象データとして用いられた(ただし症例報告のうち50.5%がアトランタからのものである)。
主要評価項目は、BLSおよびALSそれぞれの蘇生術打ち切りルールと患者が生存退院したこととの、特異性および陽性予測値。
BLSルール、ALSルールともに高パフォーマンスを有している
全体の退院生存率は、7.1%(n=392)であった。
BLS基準を満たした患者2,592例(47.1%)で蘇生を打ち切った患者のうち、生存退院した患者は5例(0.2%)のみだった。
ALS判定基準を満たした患者1,192例(21.7%)では、生存退院した者はいなかった。
BLSルールが生存退院不可を予測する特異性は0.987(95%信頼区間:0.970~0.996)、陽性予測値は0.998(0.996~0.999)だった。
ALSルールが生存退院不可を予測する特異性は1.000(0.991~1.000))、陽性予測値は1.000(0.997-1.000)だった。
研究グループは、「本検証研究で、BLSとALSでの蘇生打ち切りルールは、生存がほとんど見込めない院外心停止患者を同定するのに高いパフォーマンスを有するものである」と結論している。
(朝田哲明:医療ライター)