植込型除細動器使用は治療指針適格患者の35.4%

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2007/10/16

 

JAMA誌10月3日号に寄せられた本論は、植込型除細動器(ICD)使用の性・人種差に着目した研究報告で、米国デューク医科大学クリニカルリサーチ研究所のAdrian F. Hernandez氏らによる。

指針適格患者13,034例を調査




本研究は、ICD治療指針で「心不全で左室駆出率30%以下」とされている治療適格患者間の、実際の使用の性差および人種差を明らかにすることを目的に行われた。

解析対象となったのは、心不全・左室駆出率30%以下で退院後、米国心臓協会のGet With the Guidelines-Heart Failure質改善プログラムを受けている患者13,034例。患者は2005年1月~2007年6月の間に217の病院で治療を受けている。

主要評価項目は、退院時までにICD治療を受けた、もしくは計画されていたこととした。

「女性」「黒人患者」で有意に低い




ICD治療適格患者のうち退院までにICD治療を受けていたのは4,615例・35.4%だった。内訳は、新規ICD治療1,614例、計画527例、ICD治療既存2,474例。

ICD使用率を人種・性別に見ると、黒人女性では28.2%(375/1,329)、白人女性は29.8%(754/2,531)、黒人男性33.4%(660/1,977)、白人男性43.6%(2,356/5,403)となっている(P<0.001)。

患者特性およびホスピタル因子を調整後のICD使用のオッズ比は、白人男性を基点とすると黒人男性0.73(95%信頼区間0.60-0.88)、白人女性0.62(同0.56-0.68)、黒人女性では0.56(同0.44-0.71)となっており、女性、黒人患者との間で有意差が見いだされている。

Hernandez氏らは、こうした差異は、病院間での女性や黒人患者の比率の違いや、左室駆出率の情報提供の違いにかかわらず起きていたとも報告。その理由を明らかにするためにも、患者・医師・病院レベルのさらなる調査が必要と結論づけている。

(武藤まき:医療ライター)