1型糖尿病の血糖管理のために簡便な持続血糖モニタリング装置が開発されている。強化治療を受けている患者にとっての装置の有効性を検証していた米国の若年性糖尿病研究基金・持続血糖モニタリング研究グループ(The Juvenile Diabetes Research Foundation Continuous Glucose Monitoring Study Group)のWilliam V. Tamborlane氏らは、「成人患者の血糖管理は改善されたが、小児や青年患者にも有効かどうかは、さらに研究が必要」と報告した。NEJM誌2008年10月2日号(オンライン版2008年9月8日号)より。
強化治療を受けている小児・成人患者322例が対象
1型糖尿病の強化治療をすでに受けている患者を対象とした多施設共同臨床試験で、成人と小児計322例を、持続血糖モニタリングを行う群と、血糖計を使って家庭でモニタリングする対照群に無作為に割り付けた。
患者全員を年齢別に3群(8~14歳、15~24歳、25歳以上)に層別化。糖化ヘモグロビン値は7.0~10.0%だった。
主要項目は26週時点の糖化ヘモグロビン値の変化とした。
25歳以上群は使用率が高く血糖値も有意に改善
2つの研究群における糖化ヘモグロビン値の変化は、年齢層によって顕著に変化した(P = 0.003)。とりわけ25歳以上の持続モニタリング群で有意に減少した(変化の平均差:-0.53%、95%信頼区間:-0.71~-0.35、P<0.001)。15~24歳群(0.08、-0.17~0.33、P = 0.52)や8~14歳群(-0.13、-0.38~0.11、P = 0.29)では、顕著な変化は見られなかった。
糖化ヘモグロビン値の副次的転帰では、25歳以上群と8~14歳群では、持続モニタリング群のほうが対照群より良好だったが、15~24歳では違いはなかった。持続血糖モニタリングを1週間に平均6.0日以上使用した患者は、25歳以上群では83%だったが、15~24歳群では30%、8~14歳群は50%だった。重篤な低血糖症の発症率は低く、両群に違いはなかったが、この試験では、そのような違いを明らかにはできなかった。
このためTamborlane氏らは「持続血糖値モニタリングは、1型糖尿病の成人患者にとって血糖値管理の改善につながった可能性はあるが、小児と青年患者には関連がみられず、障壁となっている要因を確認するには、さらに研究が必要」と結論している。
(武藤まき:医療ライター)