6年ごとにヒトパピローマウイルス(HPV)検査を行う子宮頸癌スクリーニング戦略は安全かつ有効であることが、ヨーロッパで実施されたコホート研究の共同解析で明らかとなった。HPV検査は、従来の細胞診よりもgrade 3の子宮頸部上皮内腫瘍および子宮頸癌(CIN3+)の検出感度が優れる。両検査併用との比較は費用効果に基づいて行われる。費用効果は検査陰性による保護効果がどれくらいの期間持続するかで評価され、それによって至適なスクリーニング間隔が決まるという。スウェーデンLund大学病院医療微生物学のJoakim Dillner氏が、BMJ誌2008年10月25日号(オンライン版2008年10月13日号)で報告した。
7つのHPVスクリーニング試験データを共同解析
研究グループは、CIN3+の発現に関する細胞診とHPV検査の長期的な予測値について、一般化が可能な大規模なデータを得るための検討を行った。本試験は、ヨーロッパ6ヵ国で実施された7つのHPVスクリーニング試験のデータの共同解析を行う国際的なコホート研究である。
子宮頸癌スクリーニングを受ける女性2万4,295人が、HPVスクリーニング試験に登録された。フォローアップ期間中に少なくとも1回以上の子宮頸部細胞診あるいは病理組織学的検査を受けた。主要評価項目は、長期的なCIN3+の累積発現率とした。
6年後のCIN3+累積発現率、HPV検査陰性女性で著明に低い
6年後のCIN3+累積発現率は、ベースライン時の細胞診が陰性であった女性の0.97%に対し、HPV検査陰性女性は0.27%と著明に低かった。なお、3年(現在ヨーロッパで最もよく推奨されているスクリーニング間隔)後の細胞診陰性女性のCIN3+累積発現率は0.51%であった。
細胞診陰性/HPV検査陽性女性のCIN3+累積発現率が時間の経過とともに持続的に増加したのに対し、細胞診陽性/HPV検査陰性女性では3%以下のままで推移した。
著者は、「HPV検査陰性女性における6年後のCIN3+累積発現率は一貫して低く、6年ごとにHPV検査を行う子宮頸癌スクリーニング戦略は安全かつ有効と考えられる」と結論している。また、「HPV検査陰性女性と細胞診陰性/HPV陰性女性における長期的な保護効果は同等」としている。
(菅野守:医学ライター)